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4月13日より『第三回 岡田崇人の仕事』を開催します。

もはやイベントのお知らせ時しか更新しなくなってきており、大変ご無沙汰してしまい申し訳ございません。昨年11月の『白岩焼和兵衛窯 渡邊葵 展』のお知らせ以来のブログです。

季節も春を迎え、新しい元号も『令和』に決まり、新しい時代の幕開けに期待で胸を膨らませている方も多いかと思いますが、平成の最後に満を持してお届けするのは、MARKUSではおよそ2年半ぶりの個展となる益子の陶芸家・岡田崇人さんによる『第三回 岡田崇人の仕事』です。
今回のブログでは過去の岡田さんの作品や個展の画像を見ながらこれまでを振り返ってみたいと思います。

今年の5月でMARKUSも丸6年を迎える事となりますが、岡田さんとは開業時からのお付き合いなので岡田さんとMARKUSとの関係も6年になります。正確に言えば初めて岡田さんに直接お会いしてお取り引きのお願いをしたのはその前の年になりますが、オープンの数日前に届くよう制作をお願いしていたのが間に合わず、当日のお昼頃に益子からわざわざ直接お持ちいただいたのは、今となっては良い思い出です。

今でこそ年間に5回程度の展示会やイベントを開催しているMARKUSですが、最初の頃は『セレクトショップ』というスタンスから、あまり個展などを行う事はありませんでした。ですが開業から月日が経ち品揃えや方向性などの変化や見直しを進めていた2年目の頃に、何かの話の流れから『個展やってみない?』というお話をいただいたのが、MARKUS初の展示となる第1回目の『岡田崇人の仕事』のきっかけです。

1回目の『岡田崇人の仕事』では多くの事を学びました。とにかく初めての催事で当日までの段取りやDMの作成・告知等、今では問題無くこなせている事の全てが初めてで、確か岡田さんにとってもこの時が単独で東京で行う5~6年ぶりの個展だったのでお互いにドキドキしていました。段取りや物量の感覚等この時の事が基準になっていたり、ここで得た反省点や改善点をその後のお店作りやイベントに活かす事もできました。

上3つの画像は第1回目の時の売り場です。岡田さんの作品の変遷を見ると面白いです。ちょうどこの年に濱田庄司の登り窯の復活プロジェクトがあり、その時に焼いた貴重なうつわもMARKUSでの初個展に出品して頂きました。伊羅保や鉄釉の今となってはなかなか手が回らない非常に手の込んだ作品もこの時はたくさん作って下さいました。特にぐい呑みを自分用に確保しておかなかった事を今でも悔やんでおります(笑)。

1回目が2015年なので売場を見ても今とは随分違います。詰め込み過ぎは相変わらずですが、素っ気無くて下手クソな売場で恥ずかしいです。陳列用に『水屋』が必要だな。と思ったのもこの時で、今ではMARKUSの顔的な存在感ですが初めの頃は所謂『うつわ屋さん』ぽくなるのが嫌であえて避けていました。でもどのお店も水屋を使う理由がこの時にわかりました。ちなみにこの木製のキャビネットは自宅から持ってきました。

第2回目は2016年の冬、1回目から1年半後の開催となりました。この時は益子に200年続く日下田藍染工房で藍染の修行をされた『デイ・麗奈』さんとの二人展という形で行われました。陶器と藍染。それも真冬に。という意外な組み合わせかもしれませんが、深みのある色合いの藍染と個性的な柄でありながらも落ち着いたトーンの岡田さんのうつわとの相性は良く、売り場がキリっと締まり大変ご好評いただきました。

この頃になると岡田さんの活動の場や作品の幅もグッと広がりました。お馴染みの象嵌や掻き落としにも新しい柄や色が加わり、ロクロ物から型物に至るまで新しいデザインが生み出され、MARKUS開業以来の岡田さんファンの方々を唸らせる品揃えと物量で、大満足な内容となりました。個人的には開業前に初めて岡田さんの工房にお邪魔した際に仕入れた尺2寸の大皿がこの個展で旅立って行った事がとても嬉しかったです。

そしてこの時の目玉は何といってもポットでした。もう何年も前から土瓶やポットの制作をお願いしていたものの『めんどくさい・大変だから』と逃げられていたのをしつこく食い下がり、岡田さんも『10年近く作ってなかったんじゃないかな』というくらいの待望のポットを出品して頂きました。DMに使用した事もあって、会期前からたくさんのお問い合わせを頂いた事を覚えております。果たして今回の個展では登場するのでしょうか?

ご存知の方も多いと思いますが、ここで岡田崇人さんの経歴を簡単にご紹介しておきます。
1974年 東京都小金井市に洋画家の長男として生まれ、東洋大学法学部を卒業後、縄文象嵌の技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)となった益子の島岡達三氏に師事し、5年間の修行の後、2002年に栃木県益子町に自身の窯を構えました。2005年に国展に初入選を果たし、以降5度の入選をしております。

岡田さんの作品は大きく分けると【掻き落とし】と【象嵌】の2種類の技法で装飾されています。力強い彫紋に伊羅保や鉄釉を施したシリーズもありますが、なかなかお目にかかれないので一旦置いといて。掻き落としとは素地土の上から化粧土をかけ、模様として残したい部分の周りを削り落として素地を出す事で模様を浮き彫りにさせ、書いたり染めたりするのとは違う素朴な輪郭線と凹凸が生まれる手触りも楽しめる器です。

それに対して象嵌は素地土に模様となるような凹みを付け、その上から化粧土を掛けます。その後表面の化粧土を削り落とすと凹みに溜まった化粧土が模様となって残ります。岡田さんの師匠である島岡達三氏はこの凹みを付ける際に撚った縄を転がす事で模様を描く縄文象嵌で人間国宝となりましたが、岡田さんは模様のひとつひとつを丁寧に彫って象嵌を施す事で、模様の輪郭が明瞭で手触りも楽しい器となります。

上の画像の右二つのお皿は島岡達三氏の後継者である『島岡 桂』氏による縄文象嵌です。使う縄や転がし方によって様々な模様が生まれます。桂さんは岡田さんとほぼ同時期に島岡達三門下に入門した兄弟弟子で島岡達三の孫にあたります。マメ知識ですが島岡達三のうつわの裏にはタツゾウの【タ】の印、桂さんのモノにはケイの【ケ】の印が押されており、岡田さんのうつわにはオカダの【オ】の印が押されています。

どちらも非常に手間と時間がかかる仕事ですが、それを感じさせない可愛らしさと軽やかな表情があり手にしたときに初めてその素晴らしさを感じる事が出来る仕事の跡ではないでしょうか。私が岡田さんの個展のタイトルを『岡田崇人の仕事』としている理由がここにあります。そして、ひとつひとつは個性豊かな表情をしておりますが、意外と和洋問わずどんなお料理・食卓にも馴染みやすく洋食器などと並んでもしっくりする器です。

2年半ぶり3回目の個展『岡田崇人の仕事』。MARKUSにとって『平成』の最後を飾るのに相応しく、そして新しくやってくる『令和』の時代にも長く伝え残されて欲しい丁寧で美しい岡田崇人の仕事の数々。時代の節目だけではなく岡田さんにとっても大きな節目となる今回の個展。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

11月23日(金・祝)より『白岩焼和兵衛窯 渡邊 葵 展』開催いたします。

日中の気温も随分下がり、陽が出ていても上着なしでは肌寒い季節になってまいりました。10月の後半から11月の初旬まで開催していた『小代焼の三窯展』もおかげ様で盛況の内に会期を終え、しばらくのんびりと通常モードで。と思っていたら今度は11月23日(金・祝)勤労感謝の日から、2018年最後のイベントとなる展示『白岩焼和兵衛窯 渡邊 葵 展』11月23日~12月2日の会期で始まります。
● 作家在店日:11月23日(金・祝)・24日(土) ● 会期中は休まず営業します。

【個展初日の前日、11月22日は売り場準備の為お休みとさせていただきます】

MARKUS開業から5周年となる2018年は『積極的にイベントを打っていこう』と思い立って動き始めたのは昨年の夏頃。2月に『安土草多の灯り』。ゴールデンウイークに『をのぜの人』。7月に『齊藤十郎 陶展』が決まり、12月に入って「お付き合いも3年だし、そろそろ白岩焼の渡邉さんにお願いしても」と思い、ご連絡をしたところ「私も同じことを考えてました」と、嬉しいお返事が返ってきました。

渡邊さん=白岩焼との出会いは2015年の5月でした。都内のお店にご自身の作品の売り込みをしようと秋田から上京されていて、何件かのショップを回った中でMARKUSにも立ち寄って下さいました。『秋田の角館という所で白岩焼という焼き物をやっています。よかったら作品を見て下さい』と、丁寧で静かな口調ながらも必死さが伝わってきたのを覚えています。

ちょうどお客様も途切れた頃合いだったので、その時渡邊さんが持参した作品を見せていただきました。都内で手仕事の品物を扱うお店をやっていると、年に何回か作品を持ち込んで売り込みに来られる方がいます。そこそこキャリアのある方や始めて間もない方。作品もご本人の考え方も趣味の域から脱していない方。社会に出た事も無く自力で生活もしていない、口のきき方も知らない学生みたいな方。実に様々です。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

私もお店を始めてまだ年月も浅く諸先輩方と比べると知識も目利きもまだまだですが、そんなMARKUSを選んでわざわざ来てくれている事を有り難いと思っているので、基本的に門前払いをするような事はありませんが、売り込みに来られる方々と接している内に『少なくともモノ作りで生計を立てて、実店舗で勝負しているプロの作り手と仕事がしたい』という思いが固まっていました。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

そしてそこに現れた渡邊さんご自身も渡邊さんが持ってこられた作品もまぎれもなくプロのものでした。ですが、その時に見せていただいた作品はMARKUSの雰囲気や私の好みに合うモノではなく、かなり女性的で繊細で華やかな作風のモノで、到底そのままお店に並べられるものではありませんでした。ですが質感やカタチ、釉薬の感じは悪くなく、もっと他にも作品を見てみたいと思い『コレはコレではイイとして、他にこんなのはやらないの?』などと、こちらが欲しいと思う要望を出してみました。今思えば上から目線で失礼な話です。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

まだお付き合いもしていない作家さんにこういう事を言うと嫌がる方も多いのですが、渡邊さんは『出来ます。やってみます。また見て下さいますか?』と、私なんかが言う事にもとても素直で前向きで『出来上がったらまたご連絡します。』と言い残して帰って行かれました。その数か月後には約束通りリクエストの作品が届き、また次のリクエストを出して。というやり取りが何度かあり、最初の注文に漕ぎつけるまで1年近くかかりました。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

正式に注文をお願いする際は渡邊さんも上京されていて、感極まって涙を流されていました。驚いてお話を聞いてみると最初にMARKUSに来る前は、作品を見てもらってもほとんど相手にされなくて、ちゃんと話を聞いてくれたのがMARKUSだけだったそうです。確かに最初に持ってきた作品は実際よくできたモノでしたが売り込み先との相性が悪く、いわゆる器ギャラリーのような『THE 作家物』を扱うようなお店だったら状況は違っていて、あのままでは東京の、それも民藝寄りのお店ではあまり好まれないだろうな。と思わせる作品でした。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

私がした事は白岩焼和兵衛窯だからこそ出来得る自分の好きなモノ・MARKUSに置きたいモノを好き勝手にリクエストしただけで、それに嫌な顔をせず真摯に付き合ってくれた渡邊さんには心から感謝しています。ではなぜ私が最初は好みじゃなかった渡邊さんの作る白岩焼に食い下がってアレコレとお願いし続けたのか。それは初めて白岩焼の海鼠釉の濃厚な青白さを見た時に、既にハマってしまっていたのだと思います。

『白岩焼の特徴である海鼠釉は、日本各地で似たようなモノが使われているが 白岩焼がいちばん良い。』と、濱田庄司に言わしめたその青白い美しさと濃厚な質感が、白岩焼和兵衛窯の最大の魅力です。海鼠釉のうつわ自体は私も手にした事はありますが、実はあまり好きではありませんでした。しかし渡邊さんから見せていただいた海鼠釉はそれまでの私の印象を一発でひっくり返すほどのインパクトがある出会いでした。

白岩焼の歴史は古く1771年に始まります。11代にわたり秋田藩を治めた佐竹家の庇護により栄えましたが、江戸末期から明治にかけての動乱の中、1901年に白岩焼 の歴史は途絶えます。その70年後、白岩焼の復興を目指した渡邊家は、折しも民藝運動によって来訪していた『濱田 庄司』の助力もあり1974年に再興を果たしました。地元の原料にこだわり、登り窯と灯油窯を使い、現代の美意識に合うモノづくりを続けています。

渡邊葵さんは1980年生まれ。2005年に岩手大学大学院教育学研究科(美術工芸)を修了後に父である渡邊敏明氏に師事し、2009年に京都府立陶工高等技術専門校研究科を修了後そのまま同校の講師となられます。2011年に秋田に戻り和兵衛窯にて制作活動を再開している現在は、白岩焼和兵衛窯をご家族で守りながらご自身の白岩焼を制作し、伝統を守りつつご自身の感性を軽やかに作品に投影しています。

なんだか『MARKUSと渡邊葵の物語』みたいな感じになってしまいましたが、MARKUSと渡邊さんの間にはそんな歴史があり、お互いに今回の個展には特別な思い入れがあります。渡邊さんの人柄がよく表れた、丁寧で誠実な仕事から生み出されるしなやかな造形や深みのある色合いにも磨きがかかり、これまでにMARKUS でも披露した事のない新しい世界が広がります。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

『齊藤十郎 陶展~JURO POTTERY EXHIBITION』会期延長のお知らせ

猛暑の中始まった【齊藤十郎 陶展】。たくさんのお客様にお越しいただきまして誠にありがとうございます。初日と二日目の十郎さんの在店中も遠方からお越しの方、懐かしい方、たくさんのお客様にお越し頂き賑やかなスタートとなりましたが、記録的な連日の猛暑でお出掛けを躊躇っている方もいらっしゃると思い、十郎さんとも相談して【会期を7月いっぱいまで延長】する事に致しました。

しばらくこのまま猛暑が続くかもしれませんが、もう少し会期が長ければタイミングを見計らってご来店いただけるゆとりも生まれるのでは。と思い、このようにさせていただきました。600点の大ボリュームで始まった今回の【齊藤十郎 陶展】。人気のスリップも新作の点打ちもまだまだ見応え充分の品揃えで、出来るだけ多くのお客様にご覧頂きたいと思っております。

実に幅広い品揃えで取り組んでいただいた今回の個展ですが、やはり多くのお客様の注目の的はスリップウェアでした。スリップだけでも300点ほどご用意いただいた今回の品揃えは、常設の時と比べても断然幅広く、普段はだいたい6寸以上の大きさのスリップしか取り扱わない、いつものMARKUSをご存知のお客様も目を輝かせて興奮気味のご様子でした。

定番のモノに加えて、楕円のうつわでも、いつものカレー皿に少し小さいサイズ、楕円の平皿でも少し小さいサイズを追加した4パターン。角のうつわもいつも角のカレー皿と平たい角皿。そして正方形の鉢。8寸のカレー皿に深い8寸皿と9寸皿を加えたりとバリエーションが多彩に広がっております。

小さいモノでは定番の7寸平皿や6寸皿に加えて4寸・5寸皿と丸・角・楕円の小鉢、丸・角・楕円の豆皿。といった感じでかなりの充実具合です。それとは対照的に大迫力の尺4寸の大皿と尺5寸の大鉢も今回の為に焼いていただきましたので、この機会に是非ご覧になっていって下さい。

スリップとは対照的にシンプルで素朴な土の質感を楽しめる焼き締めのシリーズもたくさんご用意いただきました。以前に6寸と7寸の鉢のみ入荷した事がありましたが今回は8寸と9寸の深鉢。4寸と5寸の小鉢など幅広いサイズ展開です。スリップと同じ作り手によるモノとは思えないほどのシャープな線でザラリとした質感が楽しめるうつわです。

冬場に人気だった楕円の耐熱鉢やバーナードリーチや出西窯を思わせる平皿も飴釉に指描きを施した装飾で人気を集めています。ピッチャーやポット、マグカップから湯吞み・タンブラーなど様々なアイテムが揃っており、スリップの次いで品揃えがが充実しているシリーズです。

小物もたっぷり届いておりまして、マグカップ・湯呑・飯碗・醤油差しなども合わせると100点を大きく上回ります。カタチや柄、釉薬の種類も様々でなかなか絞り切れないため皆様苦労して選ばれています。個展の会期中にもギフトのご依頼を何度かいただいておりますが、店内の込み具合によっては少々お時間をいただく事もございますので予めご了承下さい。

以前にもお話した事がありますが、十郎さんはポットやピッチャーなどパーツを組み上げて作っていくのが好きな方です。スリップウェアのような豪快な作業をしていたかと思うとポットのような細かい作業も大好きだそうで、その最たるモノが【切り子】のシリーズです。上の画像の左下のモノですがとにかく作業が細かい。『そこまでやるのか』というほど気を抜く事無く細部までこだわりが行き届いております。

そして今回、秘かに注目されているのが、十郎さんも『何年ぶりかわからない。』とおっしゃるほど久し振りに作っていただいた土瓶です。以前から良い弦があれば作りたいとおっしゃっていたので、5月の三人展で山野孝弘さんから譲っていただいた弦を十郎さんにお渡ししてこのたび実現しました。十郎さんらしいどっしりとした佇まいで、田舎の縁側で家族みんなで回し注ぎできるたっぷりとした容量。というイメージです。

イッチン・点打ち・指描きなど、様々な技法で、これまた様々な大きさのどんぶりや鉢も作っていただきました。とかく大きなうつわが好きな私としてはワクワクします。選んでいるお客様も何を盛り付けようか妄想を膨らませながら楽しそうに悩んでいて、この個展をやってよかったなぁ。と思える瞬間のひとつです。

猛暑もまだまだ続きそうですが、【齊藤十郎 陶展】も会期を延長してまだまだ続きます。夕方になると日差しも和らぎ、いくぶん涼しくなってくるので、その頃合いを狙ってのんびりご来店されてじっくりお選びになるお客様が多いです。まだまだ見どころたっぷりですので、店内を涼しくして皆様のご来店をお待ちしております。

 

 

『齊藤 十郎 陶展』開催のお知らせ

今年は例年より早く梅雨が明け、2019年も後半戦に突入しました。今年は積極的にイベントを打っていこう。というチャレンジの年で、2月には吹きガラスの安土 草多さんによるの照明の個展。ゴールデンウイークには島根県松江市の北岸にある小さな港町、魚瀬にゆかりのある袖師窯 尾野友彦さん・カンナカガラス工房 村松 学さん・出雲民藝紙 山野 孝弘さんによる3人展。『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』を開催しました。

そして第3弾となる今回は …
【 齊藤 十郎 陶展 ~ JURO POTTERY EXHIBITION 】 2018年 7月14日(土)~ 22日(日)の会期で開催致します。 ※  作家在店日:7月14日(土)・15日(日)・ 会期中は休まず営業します。
これから夏本番。というこの時期に暑苦しいまでのボリュームと品揃えでお届けいたします。ご期待下さい。

さかのぼって調べてみると十郎さんとは2014年の秋からのお付き合いで、最初の納品は2015年の年明けでした。もっと早くからお付き合いがあったと思っていたので自分でも意外でした。今回の個展のお話がまとまったのも割と急な話で、昨年の秋に十郎さんの工房にお邪魔した時でした。普段から仲良くさせて頂いている中目黒のSMLさん絡みでの飲みの席でご一緒する事が多かったのですが、人気者の十郎さんの周りはいつも賑やかで、私はあまり積極的に声を掛けられずにいました。

十郎さんの工房にお邪魔した時もその話になって、十郎さんもMARKUSさんはマメに注文もあるし、よく顔も合わせるのにあまり絡んでこないなぁ。という印象だったそうです。そこで、いざ工房で初めて二人っきりでお話してみると急にそれまでの距離を縮めるように話が弾んで、MARKUSさんは個展とかあまりやらないの?という話題から 『いやいや、十郎さんでしたら是非とも。』という事で個展が決まりました。

十郎さんと言えば、豪快なスリップウェア。という印象をお持ちの方が多いと思います。もちろん私も十郎さんのスリップは大好物で、スリップの深みに引きずり込まれるきっかけとなった作り手の一人です。これまで何人ものスリップ作家の作品を見てきましたが十郎さんの作品は見てすぐわかります。ですが今回はスリップウェアだけでなく、十郎さんの持っている様々な顔を見ていただきたいと思っております。

十郎さんは1969年、神奈川県藤沢市の生まれ。数年の会社員生活の中で薪で焼成される器の美しさに魅了され、陶芸を志し1993年より熊本県の小代焼 ふもと窯の井上 泰秋氏の元で修業を始めます。その後1998年より鳥取県の岩井窯 山本 教行氏に師事し1999年に岐阜県の高山で独立を果たします。2004年には現在の工房がある静岡県伊東市に拠点を移し登り窯を築きます。2008年にイッテコイ窯に直すものの2015年には再び自らの手で4連の登り窯を築き現在に至ります。

小代焼 ふもと窯の井上泰秋氏のもとで薪窯での焼成と轆轤成型の基礎を学び、岩井窯 山本教行氏のもとで様々な装飾技法とカタチを学んだ十郎さんの作風は、しっかりとした基礎や技術に裏打ちされた上で多岐にわたっており、そして非常に奥が深いです。今回の展示ではスリップ以外にも灰釉や焼き締め、象嵌や切り子のような彫り物、古い沖縄に影響を受けたモノなど、様々な作風に取り組んでいただいております。

工房でお話した時も、『スリップのような型モノをしばらくやっていると、今度は無性にロクロを挽きたくなる。そしてロクロばかり挽いているとまた型物をやりたくなるんだよね。』なんて事をおっしゃっていました。そして『スリップやイッチンの様な感覚的な一瞬の勝負のよう装飾をやっていたかと思うと、緻密な作業もやってみたくなる。色々やるのが好きだから、それでバランスが取れてるんだろうね。』と楽しそうに語って下さいました。

実際十郎さんはポットや醤油差しなどを作るのがお好きで、『色んなパーツを組み立てて一つにしていくのが、プラモデルみたいで好きなんだよね。』と言っており、工房の片隅にある事務机の棚の上にはプラモデルの箱が山積みとなっていました。5月の企画展の際に籐細工の山野 孝弘さんに譲っていただいた土瓶の弦を『もし気に入って下さったらコレで土瓶をお願いします。』と十郎さんにお渡ししてありますので、もしかしたら今回の個展でカタチになってお披露目できるかもしれません。

何気なくMARKUSの事を気にかけて下さり、今回の個展を期にグッと距離を縮める事ができた十郎さんですが、そのお人柄から直接のお取引き以外にも最近になって思わぬ所で大変お世話になりました。6月の末頃に出張で熊本の小代焼の窯元を何件か訪問したのですが、是非ともこちらとお付き合いしたい。という思いが以前から強かった、小代焼 ふもと窯で修業された『まゆみ窯 眞弓 亮司』さんの工房にもお邪魔しました。

眞弓さんと十郎さんは兄弟弟子としてふもと窯での修業時代を過ごしており、今でも交流があるそうです。そして十郎さんがふもと窯を卒業した後に師事した岩井窯での兄弟弟子であり、MARKUSでもずっとお世話になっている鳥取の牧谷窯 杉本 義訓さんとも十郎さんを通じて長年の交流があります。お取り引きのお願いが眞弓さんの工房を訪れた真の目的ですが、まずは眞弓さんのうつわ作りの背景にある物語や思いを知りたかったのと私の考えや人柄を知ってもらうために、長い時間をかけてたくさんのお話をしました。

そこでのやり取りは割愛しますが、最終的にはお付き合いいただける事となりまして、決め手となったのが『十郎ちゃんや杉本君とちゃんとお付き合いされているMARKUSさんだったら大丈夫 』との事でした。十郎さんや杉本さんに絶大な信頼を寄せ、その二人が信用しているんだったら安心して付き合える。という本当にありがたいお言葉をいただきました。まさに十郎さんのお人柄がなせる業で、遠く熊本から十郎さんに心から感謝したエピソードです。

引き寄せられるように導かれて決まった今回の齊藤十郎 陶展。様々な縁に感謝しつつ皆様のご来店をお待ちしております。スリップウェアのファンの方もこれから十郎さんの仕事の幅広さを知ってみたい方も、きっとご満足いただける内容になるかと思います。是非ともご期待下さい。

 

『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』5月13日まで。

4月28日(土)から開催しております『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』もゴールデンウイークも終わり、後半戦に入りました。連休中はたくさんのお客様にお越し頂きまして誠にありがとうございます。展示総数1350点と、過去最大の物量を投入した今回の企画展も残すところあと数日となりました。

● 5月20日(日)はお休みをいただきます。

会期前日の27日は徹夜作業での売り場準備となり、明け方にいったん自宅に帰ってシャワーを浴びて着替えて店へとんぼ返りという、久し振りの重労働と寝不足で妙なテンションのまま初日を迎えましたが、おかげ様で満足いく売場も完成し、無事に開店からたくさんのお客様をお迎えする事ができました。

初日の28日はカンナカガラス工房の村松学さんと袖師窯の尾野友彦さん。29日にも尾野さんに在廊していただき、お二人に会いに関東近郊だけでなく遠方からもたくさんの方にご来店いただきました。以前に村松さんの個展で作品をご購入された方や、袖師窯さんにお邪魔した事のある方、関東にお住まいの尾野さんのご親戚の方など、両日とも和やかな空気ながらも終日賑わっており、気持ちのいいスタートとなりました。

とにかく今回は1350点という大ボリュームを、どうやって余すところなく全てお見せするか。というのが売り場づくりの課題となったのですが、どうにか全商品を出し切りました。ストックしようにも売場から下げている常設商品があったため、とにかく出し切るしかなかったというのが正直な所なのですが、満遍なく手に取っていただきやすい売り場になったようで、お客様からもご好評いただきホッとしました。

今回のカンナカガラス工房・村松 学さんの品揃えは、ワイングラスやタンブラーなどのグラス類とお皿や鉢などのうつわ類がそれぞれ4割ずつ。ピッチャーやフタ物、花器や1点モノなどで2割くらいといった幅広いラインナップでおよそ480点。グラス類でもクリアのモノから色ガラス、細い色ガラスを巻いたモノやグラヴィール彫刻という技法を施された手の込んだモノなど、これまで扱った事の無いタイプの作品もたくさん並びました。

今回の展示会が初めてのお付き合いとなった村松さんですが、前回のブログでご紹介したようなキャリアに裏付けられた確かな技術と幅広い作品群にただただ圧倒されるばかりでした。村松さんが在廊して下さった初日には、お客様に混じって『ココはどうやっているのか?この部分はどうなっているのか?』などと色々と質問を投げかけ、それに対しても丁寧にお答えいただき、こういった所でも村松さんの誠実な人柄が窺えました。

そして何より目を奪われたのが、花器やピッチャーなど1点モノなどに見られる緻密な細工と造形美、そして鮮やかな色彩です。まさに師匠である舩木先生ゆずり。という事でしょうか。大小さまざまな花器やフタ物、色鮮やかなうつわ類からグラス類までまだまだたくさんの作品がございますので、この機会をお見逃しなく。

袖師窯さんとはまだ2年ほどのお付き合いですが、今回は袖師窯130年の歴史や作品の奥行、懐の深さをまざまざと感じ、思い知る展示会となりました。まず今回袖師窯さんが今回の展示会の為にご用意下さったうつわはおよそ650点。これだけでも個展レベルの物量です。そしてその品揃えも新旧織り交ぜた非常に幅広いラインナップで、私自身も初めて目にする作品たちがたくさん並びました。

近年は二彩やスリップなどのパッと目を引く華やかなうつわが人気で今回もたくさん並びましたが、呉須や並釉、石見地方に古くから伝わる柿色の来待など、袖師窯の歴史を見るような昔から作られている作品も多数ご用意いただきました。ご来店いただいたお客様の中には古くからの袖師窯のファンの方もいらっしゃって、『コレは先々代のおじいさんの頃に作り始めた柄だね。』などと当時を懐かしむようにお話して下さいました。

『魚瀬=をのぜ』と袖師窯の関わりについてもとても興味深いモノでした。今回の『をのぜの人』は島根県松江市魚瀬町にルーツを持つ3人の作り手の合同展ですが、DMを見てお気付きの方もいらっしゃったかもしれませんが、袖師窯の尾野さんだけ松江市の市街地の生まれで、あとの村松さんも山野さんも魚瀬町の生まれです。では尾野さんと魚瀬町との繋がりは?というと、明治維新までさかのぼります。

魚瀬町にルーツを持つ尾野家の祖先が、江戸幕府崩壊後、明治8年に発せられた平民苗字必称義務令によって苗字を名乗る際に魚瀬(おのぜ)の地名から【おの=尾野】という苗字を付けた。と言われているそうで、『をのぜ』との繋がりの深さと歴史を感じました。そんな今回の企画展にはうってつけの袖師窯。まだまだたくさんの作品が所狭しと並んでおります。袖師窯130年の歴史と今を店頭で感じていただきたいです。

こちらも今回が初めてのお取り扱いとなる『出雲民藝紙』と山野孝弘さんの手による籐細工。これまで何箇所かの和紙の産地を訪ねた事がありますが、出雲民藝紙が作られる松江市八雲町の工房ほど、昔ながら環境と技法を守って作られている現場は知りません。清らかな沢の流れで原料となる楮や三椏を洗い、戸板のような大きな板に漉いた和紙を貼り付けて畑の中で天日干しする。手漉き和紙を謳いながらも近代化が進んだ産地が多い中、ここまで原始的な環境と技法で作られているとは驚きでした。

山野さんの作る籐細工の瓶敷や土瓶の弦もたくさんのお問い合わせをいただいております。土瓶の弦は幅3寸(9㎝)・3.5寸(11㎝)・4寸(12㎝)の3サイズです。お求めの際は予めご使用になる土瓶のサイズをご確認下さい。しなやかに編み込まれた瓶敷も美しく見事です。こちらは5寸と6寸の2サイズですが、6寸の方は残り僅かとなっておりますので気になる方はお早めに。そして山野さんは12日(土)に在廊して下さいます。

ゴールデンウイークを挟み2週にわたってお届けした『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』ももうすぐ終了です。これまでたくさんの品物が旅立って行きましたが、これで少しはスッキリ見やすくなった感じです。そうなると今まで気が付かなかった品物が目に付くようになり新しい発見が生まれます。まだまだたくさんの品物がございますし後半の方がゆったりご覧いただけますので狙い目です。お悩み中の方もこれからの方もまだ間に合いますますので皆様のご来店を心よりお待ちしております。

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