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袖師窯(島根)の記事一覧

【後編】4月28日(土)より『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』開催します。

【4月~ゴールデンウイーク明けまでの営業について】
4月は 20日(金)・ 27日(金) をお休みとさせていただきます。5月のお休みについてはまだ未定ですが、イベントの会期中である 5月13日(日)までは休まず営業致します。よろしくお願い致します。

企画展『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』のご紹介、後編です。三人の作り手の内、前編では『カンナカガラス工房 村松学』さんをご紹介いたしました。後編では島根県松江市に明治時代から続く『袖師焼窯元』の5代目、尾野友彦さん。柳宗悦に見出され人間国宝『阿部榮四郎』が確立した出雲民藝紙の職人でありながら土瓶敷きや弦などの伝統的な籐細工も手掛ける山野 孝弘さん。このお二人をご紹介していきます。

MARKUSと袖師窯さんとのお付き合いは2016年からですからもう2年ほどになります。初めて工房にお邪魔したのが2016年の秋の島根仕入旅で、東京を出発して出雲空港に降り立った後、一番最初に向かったのが袖師窯さんでした。松江の市街地からも程近い、宍道湖畔を走る道路から脇道に逸れてすぐの木立の中にひっそりと佇む、築100年以上はたっているであろう堂々とした建物が袖師窯の工房です。

実は今回の企画展は袖師窯さんのアイデアで、昨年の島根仕入旅の際に袖師窯さんに再訪した際に、翌年の5周年企画について何かできないかご相談したところ、2016年の秋に米子にある書店で開催した第1回の『をのぜの人』を、今度は東京でやってみないか。と、ご提案いただきました。その時のメンバーも袖師窯の尾野さんをはじめカンナカガラス工房の村松さんと出雲民藝紙の山野さんに3人で、東京ではなかなかお目にかかれない個性的な組み合わせにとても興味を持った私はすぐに乗り気になりました。

普段でしたら割と物事を慎重に考えるタイプなので、一旦東京に帰ってからお返事をするところなのですが、この時はこの魅力的な企画にすぐに食いついて、その場で簡単な打ち合わせに入りました。ひとまず他のお二人への最初のお声掛けは尾野さんの方からして下さる事になり、私は東京に帰ってから頃合いを見計らってお二人にご連絡をして、翌年のゴールデンウイークの企画展にご参加いただける承諾をいただきました。

村松さんも山野さんもお名前や作品などは目にしていたのですが、それまで面識が無かったため、今年の1月の東京に大雪が降った日に山野さんが活動する出雲民藝紙工房と村松さんの工房がある広島にご挨拶に行ってきました。この時も袖師窯さんにお邪魔してDMや会期までの段取りなどの打ち合わせをしたのですが、今回のDMはデザインの経験がある袖師窯の尾野さんの奥様に製作していただきました。

明治10年の開窯から130年余の歴史を持つ袖師窯は、三代目の尾野敏郎氏が柳宗悦や河井寛次郎、バーナード・リーチの指導を受け、民藝陶器の窯として知られるようになりました。現在は5代目の尾野友彦さんが窯を引き継ぎ、地元の陶土・原料を使用して、出雲に伝承された陶法を基礎にしながらも、友彦さんは一時期は益子の人間国宝『島岡達三氏』に師事するなど各地の陶法を会得し、簡素な中にも潤いのある現代の暮らしに役立つ日用品としての陶器造りを探求しています。

袖師窯の特徴は、器を使う人とその食卓を考えて作られた器という事ではないでしょうか。何か特定の技法や釉薬に特化して作り続けるというよりは、移り行く時代や生活様式に合わせて使う人の要望に合わせて、多種多様に自在に変化していく柔軟さと懐の深さが最大の魅力だと思います。

地釉・柿釉・ゴス釉・藁白釉・糖白釉・辰砂等、様々な釉薬を巧みに使い分け、掛分・スリップウェア・鉄絵・刷毛目・釘彫・櫛目など、長い歴史の中で培われた多彩な手法を用いて生み出される暮らしのうつわは、日々の暮らしに穏やかに馴染み、世代を超えて愛されています。

作風や技法・釉薬は幅広く多岐にわたっておりますが、作品を見ると『コレは袖師窯のうつわだな。』と、分かるモノも多く、もしかしたら知らずに使っていて『このうつわも袖師窯だったのか。』と気付く方も多いかもしれません。そのくらい何気ない日常に溶け込んでいるうつわです。ぜひ店頭でその魅力を再発見して下さい。
● 袖師窯 尾野友彦さんの在廊日は、初日の4月28日(土)です。

『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』 最後の一人、和紙の人は出雲民藝紙の職人、山野孝弘さんです。山野さんは1983年松江市魚瀬町の生まれ。大学在学中に文化財の修復について学び、文化財修復の現場の中で、廃れ行く伝統的な材料やそれを生み出す技術に危機感を覚えました。和紙もその一つで文化財を保存・修復する過程で必要になる素材として重要な位置を占めながらも、それを後世まで引き継ぐ作り手がいない。という危機的状況を実感し職人の世界に飛び込みました。

出雲地方は正倉院文書にも記述が残っているように、古くから紙の産出国でしたが画期的な発達をとげたのは江戸時代になってからと言われています。最盛期では30戸ほどで紙漉きをしていましたが、1998年の時点でわずか3戸になってしまいました。出雲民芸紙と呼ぶようになったのは1930頃からで、当時「民芸運動」の創始者であった柳宗悦氏に後に人間国宝となる安部榮四郎が出会い、柳宗悦氏の指導を受け、和紙作りに励んだ事によります。

出雲民芸紙の特徴を一言でいえば、原料の持ち味を生かすという事です。『楮紙は楮紙らしく、雁皮紙は雁皮紙らしく、三椏紙は三椏紙らしく』といういわば和紙の美学に基づいて作られています。古来の原料を用い、昔からこの地に伝わる道具や技術を駆使して葉書や便箋・封筒・貼り箱など様々な形で生み出されています。特に雁皮紙は光沢があり防虫効果も優れているので保存文書に適しています。柔らかな風合いでありながら丈夫で長持ちするのも特徴のひとつです。

出雲民藝紙の職人を目指した山野さんは『とにかく危機に瀕している出雲民藝紙を残す為に』という一心で修業を始めたそうですが、この思いは出雲民藝紙だけでなくあらゆる方向に向いています。その一つがもう一つの顔である籐細工です。松江藩に江戸末期から伝わる籐細工。こちらも無くなりつつある伝統工芸です。一子相伝で伝えられてきた籐細工ですが、5代目の長崎誠さんに教えを請いながら技術を継承しています。

もしかしたら山野さんの『もうひとつの顔』の方をご存知の方も多いかもしれません。『土瓶の弦の人』と言えば、お世話になっている我々の同業者や陶芸家もいらっしゃるはず。実はこの土瓶の弦も危機的状況にあった重要なパーツ。何でも良ければ適当なモノはあるのでしょうけど、民藝の土瓶に合う力強く細部までこだわった美しい弦はなかなかありません。それを作り出せる職人となると、もはや山野さんは貴重な存在です。

前編・後編と2回にわたってご紹介しました『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』の3人の作り手たち。既にガラスの村松さんと袖師窯の尾野さんから出品リストを頂いておりまして、3人合わせるとおよそ1200点を超える、過去最大の物量の展示会となります。幅広く多岐にわたる品揃えで、会期中に何度お越しになっても新しい発見がある展示会となる事と思います。ご期待下さい。皆様のお越しを心からお待ちしております。

【前編】4月28日(土)より『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』開催します。

【4月~ゴールデンウイーク明けまでの営業について】
4月は 20日(金)・ 27日(金) をお休みとさせていただきます。5月のお休みについてはまだ未定ですが、イベントの会期中である 5月13日(日)までは休まず営業致します。よろしくお願い致します。

4月に入り新年度がスタートしました。20年前に学生生活を終え会社員でも無くなり6年経った今となっては、新年度と言われても税金や保険関係くらいでしか私には縁のない言葉になってきておりますが、それでも4月になると漠然と新しい何かへの予感や期待にワクワクしたりします。そして5年前の今頃、大きな期待と不安を胸に目前に迫ったMARKUS開業の準備に追われ、2013年5月23日にMARKUSがオープンました。

あれから開業5周年を迎える今、店内の様子も品揃えも変化した所もあれば何も変わらない部分もありますが、何とか5年やってこれたのはMARKUSに関わって下さったお取引き先様やご来店下さった多くのお客様のおかげだと実感しております。本当にありがとうございます。
この感謝の気持ちをカタチにしようと考えてみましたが、セールやノベルティというのも何か違うな。という事で、今年は皆様に喜んでいただける企画に力を入れよう。と思い至りました。

その第1弾が2月に開催した『安土草多の灯り』で、この時はたくさんのお客様にお越し頂き、皆様にとても喜んでいただけたのではないかと思っております。そして今回、5周年月間に開催する第2弾が『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』です。『をのぜ』というのは上の写真にある、島根県松江市の北岸にある断崖絶壁に囲まれ遥か広がる日本海を望む小さな港町である『魚瀬(おのぜ)町』の事です。

今回はこの地にルーツを持つ3人の作り手による展示会です。現在は広島県福山市に『カンナカガラズ工房』を構えて活動する村松学さん。島根県松江市に明治時代から続く『袖師焼窯元』の5代目、尾野友彦さん。柳宗悦に見出され人間国宝『阿部榮四郎』が確立した出雲民藝紙の職人でありながら土瓶敷きや弦などの伝統的な籐細工も手掛ける山野 孝弘さん。これら3人の作り手による3つの異なる素材が織り成す誠実な熟練の技と、日々の暮らしを豊かにする三者三様の美しい手仕事の品々をこの機会に是非ご覧下さい。

それではここから3人の作り手をご紹介していきます。まず最初は『カンナカガラス工房 村松 学』さん。村松さんは1967年島根県松江市魚瀬町の生まれ。1990年より日本初のクリスタルガラス専門工場として政府や宮内庁にも納入実績のある『カガミクリスタル』に入社し吹きガラスを始めます。その後1996年より、島根県における民藝運動とも縁の深い舩木家4代目、舩木道忠氏の子息で自らの工房を持つ日本の個人ガラス作家の先駆けである舩木倭帆(しずほ)氏に師事します。

舩木倭帆氏は村松さんが吹きガラスを始めたカガミクリスタルにも在籍していた事があり、同社を離れた後に東京や九州での制作時期を経て、1988年に広島県福山市に『グラスヒュッテ舩木』を設立し、2013年にお亡くなりになるまでガラス制作に生涯を捧げました。村松さんは9年もの長い修行の後、2005年に師匠の工房がある同じ広島県福山市に『カンナカガラス工房』という名で築炉・独立を果たしました。

工房の名前にある『カンナカ』とは何か。村松さんの故郷である魚瀬と日本海に浮かぶ隠岐の島の間の海中には美しく神聖で豊かな天然の漁場があると言われており、そこをカンナカと言うそうです。古くから生きるのに必要なものは全て海がもたらしてくれると教えられ、海近くに暮らせば餓えること無く、生きていく上で必要な分だけ漁をする。足るを知る質素で堅実な生活の精神が込められているのだと思います。

独立後の村松さんは2008年に国展初出品で初入選を果たし、翌2009年には国展工芸部新人賞を受賞。2012年には国展準会員と、キャリアを積み上げていきます。その作風は村松さんの人柄や思いを反映して実直そのもの。大きな個体差は少なく透明感があり瑞々しくキチンと丁寧に作られているという印象です。『刹那的場当たりの効果を狙う創造を忌み、真に価値のあるものを創造する精神を常に持つ』というカガミクリスタルの精神が表れているようです。

印象としてはシャープでいて安心感があり、素朴さというよりシンプルな造形美やラインに対するこだわりが感じられます。もちろん使いやすさについても生活の中の場面や使う目的なども意識して作られています。特にピッチャーや花器などは作り手によって個性が出ますが、村松さんが作るモノはどちらかと言うとぽってりとした丸みではなく、スマートでシュッとした曲線です。ですが高価で繊細なクリスタルやデザイン重視でつくられたものとは違い、気負わずに使える日々の暮らしの中でこそ存在感を発揮すガラス器です。

『工芸美の本来は、日々の暮らしの中にあって、心の安らぎと悦びをもたらす普遍的な存在である』・『芸は人の修練によってのみ達せられ、修練に支えられ、あくまで謙虚に誠意と喜びを以て作ったものが使う人の心に響き、使う人の喜びが重なり合って新たな喜びが生まれる。そこに真の豊かな暮らしが生まれる』これは村松さんの師匠である舩木倭帆氏の言葉ですが、真摯に仕事に向き合い妥協を許さない村松さんが作るガラスには、その教えが見事に体現されているように感じます。

村松さんの作り出す色ガラスは初夏の日差しを通して様々な表情に変化します。造形の美しさもさることながら、師である舩木倭帆氏ゆずりの大胆で鮮やかな色彩も大きな魅力です。ぜひお手に取ってその美しさを堪能して下さい。皆様のお越しを心からお待ちしております。
● カンナカガラス工房 村松学さんの在廊日は初日の4月28日(土)です。

あとお二人、袖師窯の尾野友彦さんと出雲民藝紙の山野孝弘さんは【後編】でご紹介いたします。

年内の入荷がだいたい出揃いました。~ 年末年始の営業

あっという間に今年も残すところあと10日ほどです。吉祥寺の街も普段より人が多く平日でも活気付いておりますが、私は喧騒から取り残されたようなMARKUSの店内で、のんびりと『あぁ、年末だな』としみじみ感じております。 …というのは妄想で、店内はもう大変な事になっております。

【年末年始の営業】
年内は12月30日(土)まで休まず営業します。(30日の営業は通常どおり 11:00~20:00)
年始は1月4日(木)11:00からの営業とさせていただきます。

という事で、ここ最近の苦行のような入荷ラッシュの品々をご紹介させていただきます。まずは今年もやってきました、しめ飾り。例年と同じものですが、毎年同じものをお求めになる方が多く、私自身もこのしめ飾りを大変気に入っているため今年もこの伊予のしめ飾り一択です。

茨城に工房を構える吹きガラスの河上 智美さんから大量のガラス器が届いております。いつもは毎年春先に注文したモノを、その年の年末から年明けにかけて2回くらいに分けて届けて下さるのですが、今回はドカンと一括、180点ほどを直接お持ちくださいました。

何日か前に『○○日にお持ちします』というご連絡はいただいていたのですが、いつも通り半分くらいだろうと暢気に構えていたら、まさかの全量180点。急遽大掛かりな売場替えとなりましたが何とか全て売場に収まりました。今回の入荷はコレでおしまいで次回はまた来年の今頃となりますので、気になる方はお早めに。

今回の入荷はグレーのモノも合わせて全部で32種類です。大体いつも定番的な継続品が全体の半分、残りを新作と過去の作品の中からのピックアップを半々。という割合でお願いしているのですが、今回の新作もとてもイイです。来年以降も継続して定番化したいモノばかりです。

河上さんのつくるモールで形づくられたガラスは透明感があり造形的にも美しく、そして華やかさがあります。もう目前に迫ったクリスマスや年末年始などの人が集う賑やかな食卓にはピッタリですしギフトにも大変喜ばれております。

島根県の白磁工房 石飛勲さんからも、今回は鉢モノを中心に追加の品物が届いております。前回10月に届いた分は湯吞みや醤油差しなど細々したとしたものが中心でしたが、今回の入荷分は9月に工房にお邪魔した際にアレコレと要望をお伝えしてきたものがカタチになって届きました。

今年の春に入荷した際に大変好評だったリム浅鉢に2パターンの装飾を加えていただきました。一つはリムに二本の筋目を入れて立体的にして感触も楽しめるようにしました。もう一つもリムに呉須で二本の線を引いて洋皿っぽく仕上げていただきました。朝食のスープやシリアルに似合いそうです。

同じく島根県の袖師窯さんからも様々なカタチのお皿や鉢が届いております。だいたい定番のモノが中心ですが、こちらでも9月にお邪魔した際に要望を出して実現したモノがあります。現地に行って作り手と直接お話をしながらお願いした品物が形になって手元に届くというのは何とも嬉しいモノです。

カップ類も何種類か届いております。今回はあえて湯吞みという形をとらずに、何にでも使えそうなフリーカップを選びました。もちろん湯吞みとして使ってもいいですしビールや焼酎なども楽しめます。当然ながらガラスと違ってお湯割りなど熱い飲み物も楽しめるが陶磁器のいいトコロです。

12月の初旬に先行して入荷していた信楽の八木橋 昇さんと益子の廣川 温さんに続いて、鈴木史子さんからも土鍋が届きました。鈴木さんの土鍋はやや浅めでほぼ寸胴な形で底が広いので、鍋料理だけでなく、ポトフやロールキャベツなど具がゴロッとしたお料理などで大変使いやすく便利です。

鈴木さんからは初めてのお取り扱いとなる耐熱のキャニスターも届いております。フタを載せればスタッキングできる保存容器として、一人分のグラタンや熱々のスープを作ったらフタを下皿にしてテーブルへ。といった感じで大変便利です。土鍋同様に鉄のような渋みのある黒と柔らかな印象の黄色の2色展開です。

そして今年の耐熱モノのトリは廣川 温さんから届いた片手鍋です。深いのと浅いのの2種類でこちらもMARKUSでは今回初めてのお取り扱いとなります。これで今シーズンの耐熱モノは全て揃いました。廣川さんの耐熱のうつわは季節を問わず大変人気で、今後は通年でお取り扱いしていこうかと検討中です。

11月に毎年恒例の大量入荷があった小島鉄平さんから、更に角小皿と六角小皿そして楕円鉢の追加入荷がありました。おかげ様で先月100点ほど入荷した分もかなり減ってしまい、売り場も少し縮小したところへ今回の入荷なので、まだまだMARKUSにおける小島鉄平さんの存在感は弱まりそうもありません。

前月入荷した分も7寸・8寸の大きめのお皿は残りわずかとなってしまいましたが4~6寸皿や角鉢、今回入荷した楕円皿や小皿類などはまだまだたっぷりあります。お目当ての柄の動物がいる内にお早目のどうぞ。まだしばらくは在庫はもちそうですが次はまた1年後の入荷となります。

最後は益子の蜂谷隆之さんから届いた筋目拭漆の多用椀です。黒と朱塗りの多用椀は通年でお取り扱いしておりますが、この筋目入りの拭漆多用椀は秋冬限定にしております。蜂谷さんにお願いすれば季節に関係なく作って下さると思うのですが、個人的にこの椀には寒い時期に具だくさんの豚汁を食べたくなる印象があるので、店主の独断と偏見で秋冬だけのお楽しみにしております。

実は今回のブログを書き始めたのが12日頃だったのですが、連日何かしら入荷があり、アレも載せなきゃコレも載せなきゃと、届いた品物を次々撮影して記事を書き足している内にこんな時期になってしまいました。もう今年の入荷はコレで打ち止めだと思います。年内は30日まで売り場いっぱいの品物で皆さまのお越しをお待ちしております。

今年も残すところあと少しです。少し気が早いですが、2017年もMARKUSをご愛顧いただきまして誠にありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願い致します。

 

今年も島根に行ってきました。その1

最近はお手軽なインスタでのお知らせばかりになってしまい、ブログの方がおろそかになってしまいスミマセン。久し振りの投稿となる今回は読み物的なネタとして、9月の20日~22日の2泊3日で行ってきた島根県の旅を回想しながら立ち寄り先をご紹介していこうと思います。

私がいつもお世話になっている方で、島根県の伝統工芸などのブランディングやPRのお手伝いをされている方がいらっしゃいます。その方の仲介で、東京からバイヤーを呼んで島根県の工藝を視察してもらい、もっと広く知ってもらおうという企画で、島根県からのご招待という形で行ってきました。本当は9月21日と22日の2日間の日程だったのですが、この2日間は県の職員の方や私と同じく東京から招待された他のバイヤーと同行となる為、折角だから1日フリーに動ける日が欲しいと思い、自腹を切って20日から島根入りしました。

県が組んだ今回の行程は出雲から石見~浜田・益田方面へ西へ行き、石見空港から東京へ帰る。という予定だったので、松江や出雲を回りたかった私は石見~羽田間と同じANAが発着する米子空港から旅をスタートしました。朝まだ暗い時間に自宅の最寄り駅を始発で出発して羽田から米子空港に降り立ったのが8時ちょっと過ぎ、2日目に県の方々との合流に備えて初日の宿を出雲市駅前に取っていたので、この日の足となるレンタカーの都合もあってひとまず出雲市に向かいました。

米子空港から松江まで空港連絡バスで行き、松江からは特急やくもに乗り、出雲市駅に着いたのが10時過ぎ。駅から歩いて10分のレンタカー屋で車を借りて最初に向かったのが、『森山ロクロ工作所』さんです。森山さんとは昨年9月にお邪魔した時からのお付き合いで、ご挨拶や近況の報告もそこそこに次の注文として茶筒や薬味入れ、お盆など注文をしてきました。お話ししていてとても楽しい方で、昨年同様に奥様も交えて3人で世間話に盛り上がってしまい作業場や品物の写真を撮ってくるのをすっかり忘れてしまいました。

森山さんの所で盛り上がりすぎて1件目から予定時間をオーバーしてしまい、次に向かった先は山間部の雲南市 三刀屋にある『白磁工房 石飛 勲』さんのところです。石飛さんとも昨年9月からのお付き合いで、この春に入荷もあり既に次の注文もしてあります。今回は次回分の注文の中にあるMARKUS仕様リクエストの詳細打合せと更に追加の注文もしてきました。現地に行った時の悪いクセで、部屋中に広がる大量の見本品でテンションが上がってしまい、ついついたくさん追加注文してしまいます。

例えば今回は醤油差しを現地でお願いしてきたのですが、元々あった醤油差しは中央のモノなのですが、細かい筋の入った『しのぎ』だけでなく右にあるような『面取り』もできないか?とか、下皿も人によっては要る要らないがあると思うので、基本はナシにして左のような単品の花弁型の豆皿をセットしたらどう見えるか?などとやっている内に注文がどんどん膨らんで行ってしまいます。同様な事を土瓶や片口などでもやっていて、元々事前に注文していた倍近くのボリュームに膨らんでしまったところで注文ストップです。

帰り際に年季の入った電気窯を見せていただきました。実は石飛さんの後にご近所の『永見窯』さんの所にお邪魔するつもりでいたのですが、急用が入って外出されているそうなので、その次の訪問先である松江の『袖師窯』さんに行く前に1箇所差し込もうと考えました。パッと思い浮かぶ候補は3つ。『出西窯』と『湯町窯』と『舩木窯』です。出西さんは松江に向かうには少し遠回りで、話し込んだら長くなるのでナシ。舩木さんは完全に観光だし、アポ無しでフラッと立ち寄れる所じゃないのでナシ。という事で湯町窯に寄り道しました。

湯町窯さんでは特に今のところお取引の予定も無い為、いただいたお茶をすすりながらぼんやりとうつわを眺めて少し休憩をした後に松江の袖師窯さんに向かいました。袖師窯さんも同じく昨年9月からのお付き合いで、この1年の間に何度か入荷もあり、既にMARKUSでもファンの多い窯元です。次の注文もお願いしてあるのですが、石飛さん同様に展示室にある作品を見ながら色々と追加でお願いしてきました。早ければ年内にはいくつか形になってご紹介出来るモノもあると思います。

袖師窯さんは明治から続く歴史ある窯で、現当主の尾野友彦さんで5代目となります。その長い歴史の蓄積もあって本当に作品の幅が広く、過去の古い作品も可能なモノは割と気軽に引き受けて下さります。今回はその中から先代の頃のモノを1種類お願いしており、出来上がりがとても楽しみです。そして今回の袖師窯さんの訪問では大きな収穫と言うか有難いお話をいただいて帰ってまいりました。具体的な詰めはこれからですが、ひとまず関係各所の了承と大体の日程が決まりましたので、ざっくりと発表しますと。

来年5月のゴールデンウイークに、MARKUSの5周年記念企画として袖師窯さんを含めた3人の作り手による合同展を開催させていただける事になりました。他のメンバーや詳細はこれから小出しにお知らせしていきますが、まず東京ではなかなかお目にかかれない作り手であり組み合わせです。最初は今度何かイベントでご協力いただけないか。というフワッとしたご相談だったのですが話がだんだん大きくなり、尾野さんからいただいたご提案を東京に持ち帰って企画書に仕上げてお送りしたところ、つい先日OKをいただきました。

有難いお話をいただいて向かった初日最後の目的地は出雲大社の東側、平田にある創業300年の老舗『來間屋生姜糖本舗』さんです。すっかり話し込んでしまい辺りも暗くなってきた袖師窯さんを飛び出して、宍道湖の北岸をぐるっと走り來間屋さんに到着したのは閉店の15分前。こちらでは毎年冬場限定で生姜糖を仕入れさせていただいており、初めてお邪魔したのはMARKUSを開業する前に神戸に住んでいた頃で、それ以来なかなかお伺い出来ず、今回開業後初めて直接当主の方にご挨拶させていただく事ができました。

來間屋さんで『今後ともよろしくお願い致します』と、ご挨拶を済ませてこの日の予定はすべて終了です。この時点で19時過ぎ。朝、空港に向かうバスの中で妻が持たせてくれたおにぎりを食べて以来何も食べていない事に気付いて急に空腹を覚えましたが、ガソリンを満タンにしてレンタカーを返却する時間も迫っていた事もあり大急ぎで出雲市駅に向かいました。20時前にホテルにチェックインを済ませて空腹を満たすべく駅前の飲み屋街である『代官町』を徘徊しましたが、その辺のお話は割愛させていただきます。

その2へ続きます。

春の嵐。怒涛の入荷ラッシュです。

3月も後半に入り、3連休目前で世間はすっかり春休み。卒業式があちこちで行われ、4月からの新しい旅立ちや生活に向けての準備に胸が膨らんでいる方も多い事でしょう。この春に進学や就職で新しい生活を始めるような若者にはあまり縁の無さそうなMARKUSですが、今週に入って春らしい新しい品物が、それこそ春の嵐のように続々と入荷しております。

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まずは、昨年の9月に行った島根県への仕入の旅で新たなお付き合いが始まった『袖師窯』さんより初めての入荷がありました。9月の仕入旅では島根に到着した初日に空港から車を飛ばして真っ先に向かった1番の訪問先だったのですが、この時に4件の新しいお付き合いが生まれまして、既に『石州 嶋田窯』さん、『森山ロクロ工作所』さんからの入荷があり、今回の袖師窯さんで第3弾となります。ちなみに袖師窯さんに教えてもらった松江市内の『東風』という蕎麦屋さんは絶品でした。そして最後のもう1件も4月にはご紹介できる事と思います。ご期待下さい。

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袖師窯は1877年に初代の尾野友市氏が松江市に窯を築いたのを始まりに3代目の敏郎氏の代では柳宗悦や河井寛次郎、バーナード・リーチの指導を受け、民藝の窯元として知られるようになった歴史ある窯元です。開窯から140年。現在は5代目の尾野友彦さんが袖師窯の長い歴史を引き継ぎ、出雲に伝承された技法を基礎として地元の土と原料を使い、日用品としての焼き物を作っています。

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袖師窯と言えばコレ。というモノはまさに使う人それぞれで、その作品群や個性は多岐にわたっております。共通して言える事は、時代と食卓を囲む生活を考えて作られたうつわであり、特定の形や技法、釉薬ではなく生活に合わせて変化するうつわ。という事です。工房にお邪魔した時も欲しいうつわ取り扱いたいうつわがありすぎて頭の中がまとまらなかったのですが、まずお付き合い第1弾はコレ。という事で今回は二彩のシリーズをお願いしました。軽やかで華やかで、これからの季節にピッタリのとても使い心地のいいうつわです。

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続いては今回で2回目の入荷となる秋田県の『白岩焼和兵衛窯 渡邉 葵』さんより、伝統の海鼠釉と白釉のプレート・マグカップ・酒器が届きました。今回も吸い込まれそうなほど美しい海鼠釉のブルーは健在で、作り手の渡邉さんいわく、『海鼠釉の発色もキレイで、よく焼けてます。』との事でした。昨年の11月に納品していただいた、少し深さのある丸皿もご好評いただいて残りわずかですが、今回入荷した2サイズのリムプレートも使い勝手がよく様々シーンで活躍してくれそうです。

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普段は比較的大きめの6寸や7寸皿をお求めの客様が多いため、4寸や5寸といった取り皿サイズは手薄になってしまうMARKUSですが、今回は4.5寸という絶妙なサイズ設定の深皿をご用意しました。また、昨年の年明け頃より渡邉さんと相談していたマグカップもMARKUS用に作っていただきました。もともと渡邉さんの作品としてあったワイン用カップの丸っとしたシェイプが気に入ってしまい、マグカップにアレンジしてもらったのですが、持ち手のカタチや位置など苦労の跡がうかがえます。

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そして今回は常設ではMARKUS初のお取り扱いとなるぐい呑みが届きました。 一昨年の岡田 崇人さんの個展の際に20点ほどの酒器を出品していただきまして、後にも先にもそれっきりだったのですが、最近になって私もようやく日本酒のおいしさがわかるようになってきたので満を持して品揃えに加えました。写真ではサイズ感がわかり難いかと思いますが、実物はかなり大きいです。届いた時は少しビックリしたのですが渡邉さんいわく『秋田では標準サイズ』だそうです。さすが米どころ酒どころの秋田。という事でしょうか。

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うつわ以外にもイロイロ届いております。まずは、およそ1年半ぶりの入荷となる長野県の米澤箒工房さんの『松本箒』です。初回となる前回が2015年の10月に届けて下さいまして、ちょうどその頃が新聞やメディアなどで松本箒が取り上げられ始めた頃で、その過熱ぶりにすぐに入手困難になってしまいました。最近はようやく少しばかり落ち着いてきたそうですが、今回の入荷分も無くなったら次はいつになる事やら?という感じです。

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米澤箒工房さんは『箒工房』といっておりますが農家でもあります。箒作りの材料となる日本国内でも珍しい『ホウキモロコシ』を全て自家栽培しており、それを箒に仕上げている農家であり職人でもあり現在はご家族3人で箒の制作をしています。米澤さんのモロコシはふんわりと柔らかく粘りがあります。掃き心地も柔らかく耐久性が高いため10年以上は使い続けることができ長年使い込んだ箒はアメ色に変化し何とも言えない風情があります。昨年収穫して乾燥させたホウキモロコシを束ねて箒に仕上げている為、まだ青々として爽やかなイ草の香りがします。

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怒涛の入荷ラッシュはまだまだ続きます。MARKUSでは定番のwoodpeckerさんの『いちょうの木のまな板』に直線的な長方形が加わりました。これまでの緩い曲線のタイプと数字上のサイズは同じですが、シンプルに道具としての『THE まな板』をお求めの方。とにかく面積すべてを目いっぱい使いたい。という方のご要望にお応えしましてラインナップに加えました。こちらは大のみの1サイズ展開です。

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最後に人気のMokunejiさんのコーヒーミルが素材(樹種)が変わって再入荷しております。今回よりこれまでのミズメからケヤキに変わっております。どちらも漆器の木地に使われるポピュラーな樹種ですが目が詰まったミズメに対してケヤキは木目の個性がよく表れていて、今まで以上に素材の個体差を楽しんでいただけます。

コレ全てここ数日で入荷した品物たちです。新しい品物が届き売り場の雰囲気も季節と共にガラッと変わったMARKUSをぜひのぞきに来てください。新しい発見がたくさんありますよ。

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