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日々のモノ・コト

2018年 4月

【後編】4月28日(土)より『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』開催します。

【4月~ゴールデンウイーク明けまでの営業について】
4月は 20日(金)・ 27日(金) をお休みとさせていただきます。5月のお休みについてはまだ未定ですが、イベントの会期中である 5月13日(日)までは休まず営業致します。よろしくお願い致します。

企画展『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』のご紹介、後編です。三人の作り手の内、前編では『カンナカガラス工房 村松学』さんをご紹介いたしました。後編では島根県松江市に明治時代から続く『袖師焼窯元』の5代目、尾野友彦さん。柳宗悦に見出され人間国宝『阿部榮四郎』が確立した出雲民藝紙の職人でありながら土瓶敷きや弦などの伝統的な籐細工も手掛ける山野 孝弘さん。このお二人をご紹介していきます。

MARKUSと袖師窯さんとのお付き合いは2016年からですからもう2年ほどになります。初めて工房にお邪魔したのが2016年の秋の島根仕入旅で、東京を出発して出雲空港に降り立った後、一番最初に向かったのが袖師窯さんでした。松江の市街地からも程近い、宍道湖畔を走る道路から脇道に逸れてすぐの木立の中にひっそりと佇む、築100年以上はたっているであろう堂々とした建物が袖師窯の工房です。

実は今回の企画展は袖師窯さんのアイデアで、昨年の島根仕入旅の際に袖師窯さんに再訪した際に、翌年の5周年企画について何かできないかご相談したところ、2016年の秋に米子にある書店で開催した第1回の『をのぜの人』を、今度は東京でやってみないか。と、ご提案いただきました。その時のメンバーも袖師窯の尾野さんをはじめカンナカガラス工房の村松さんと出雲民藝紙の山野さんに3人で、東京ではなかなかお目にかかれない個性的な組み合わせにとても興味を持った私はすぐに乗り気になりました。

普段でしたら割と物事を慎重に考えるタイプなので、一旦東京に帰ってからお返事をするところなのですが、この時はこの魅力的な企画にすぐに食いついて、その場で簡単な打ち合わせに入りました。ひとまず他のお二人への最初のお声掛けは尾野さんの方からして下さる事になり、私は東京に帰ってから頃合いを見計らってお二人にご連絡をして、翌年のゴールデンウイークの企画展にご参加いただける承諾をいただきました。

村松さんも山野さんもお名前や作品などは目にしていたのですが、それまで面識が無かったため、今年の1月の東京に大雪が降った日に山野さんが活動する出雲民藝紙工房と村松さんの工房がある広島にご挨拶に行ってきました。この時も袖師窯さんにお邪魔してDMや会期までの段取りなどの打ち合わせをしたのですが、今回のDMはデザインの経験がある袖師窯の尾野さんの奥様に製作していただきました。

明治10年の開窯から130年余の歴史を持つ袖師窯は、三代目の尾野敏郎氏が柳宗悦や河井寛次郎、バーナード・リーチの指導を受け、民藝陶器の窯として知られるようになりました。現在は5代目の尾野友彦さんが窯を引き継ぎ、地元の陶土・原料を使用して、出雲に伝承された陶法を基礎にしながらも、友彦さんは一時期は益子の人間国宝『島岡達三氏』に師事するなど各地の陶法を会得し、簡素な中にも潤いのある現代の暮らしに役立つ日用品としての陶器造りを探求しています。

袖師窯の特徴は、器を使う人とその食卓を考えて作られた器という事ではないでしょうか。何か特定の技法や釉薬に特化して作り続けるというよりは、移り行く時代や生活様式に合わせて使う人の要望に合わせて、多種多様に自在に変化していく柔軟さと懐の深さが最大の魅力だと思います。

地釉・柿釉・ゴス釉・藁白釉・糖白釉・辰砂等、様々な釉薬を巧みに使い分け、掛分・スリップウェア・鉄絵・刷毛目・釘彫・櫛目など、長い歴史の中で培われた多彩な手法を用いて生み出される暮らしのうつわは、日々の暮らしに穏やかに馴染み、世代を超えて愛されています。

作風や技法・釉薬は幅広く多岐にわたっておりますが、作品を見ると『コレは袖師窯のうつわだな。』と、分かるモノも多く、もしかしたら知らずに使っていて『このうつわも袖師窯だったのか。』と気付く方も多いかもしれません。そのくらい何気ない日常に溶け込んでいるうつわです。ぜひ店頭でその魅力を再発見して下さい。
● 袖師窯 尾野友彦さんの在廊日は、初日の4月28日(土)です。

『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』 最後の一人、和紙の人は出雲民藝紙の職人、山野孝弘さんです。山野さんは1983年松江市魚瀬町の生まれ。大学在学中に文化財の修復について学び、文化財修復の現場の中で、廃れ行く伝統的な材料やそれを生み出す技術に危機感を覚えました。和紙もその一つで文化財を保存・修復する過程で必要になる素材として重要な位置を占めながらも、それを後世まで引き継ぐ作り手がいない。という危機的状況を実感し職人の世界に飛び込みました。

出雲地方は正倉院文書にも記述が残っているように、古くから紙の産出国でしたが画期的な発達をとげたのは江戸時代になってからと言われています。最盛期では30戸ほどで紙漉きをしていましたが、1998年の時点でわずか3戸になってしまいました。出雲民芸紙と呼ぶようになったのは1930頃からで、当時「民芸運動」の創始者であった柳宗悦氏に後に人間国宝となる安部榮四郎が出会い、柳宗悦氏の指導を受け、和紙作りに励んだ事によります。

出雲民芸紙の特徴を一言でいえば、原料の持ち味を生かすという事です。『楮紙は楮紙らしく、雁皮紙は雁皮紙らしく、三椏紙は三椏紙らしく』といういわば和紙の美学に基づいて作られています。古来の原料を用い、昔からこの地に伝わる道具や技術を駆使して葉書や便箋・封筒・貼り箱など様々な形で生み出されています。特に雁皮紙は光沢があり防虫効果も優れているので保存文書に適しています。柔らかな風合いでありながら丈夫で長持ちするのも特徴のひとつです。

出雲民藝紙の職人を目指した山野さんは『とにかく危機に瀕している出雲民藝紙を残す為に』という一心で修業を始めたそうですが、この思いは出雲民藝紙だけでなくあらゆる方向に向いています。その一つがもう一つの顔である籐細工です。松江藩に江戸末期から伝わる籐細工。こちらも無くなりつつある伝統工芸です。一子相伝で伝えられてきた籐細工ですが、5代目の長崎誠さんに教えを請いながら技術を継承しています。

もしかしたら山野さんの『もうひとつの顔』の方をご存知の方も多いかもしれません。『土瓶の弦の人』と言えば、お世話になっている我々の同業者や陶芸家もいらっしゃるはず。実はこの土瓶の弦も危機的状況にあった重要なパーツ。何でも良ければ適当なモノはあるのでしょうけど、民藝の土瓶に合う力強く細部までこだわった美しい弦はなかなかありません。それを作り出せる職人となると、もはや山野さんは貴重な存在です。

前編・後編と2回にわたってご紹介しました『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』の3人の作り手たち。既にガラスの村松さんと袖師窯の尾野さんから出品リストを頂いておりまして、3人合わせるとおよそ1200点を超える、過去最大の物量の展示会となります。幅広く多岐にわたる品揃えで、会期中に何度お越しになっても新しい発見がある展示会となる事と思います。ご期待下さい。皆様のお越しを心からお待ちしております。

【前編】4月28日(土)より『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』開催します。

【4月~ゴールデンウイーク明けまでの営業について】
4月は 20日(金)・ 27日(金) をお休みとさせていただきます。5月のお休みについてはまだ未定ですが、イベントの会期中である 5月13日(日)までは休まず営業致します。よろしくお願い致します。

4月に入り新年度がスタートしました。20年前に学生生活を終え会社員でも無くなり6年経った今となっては、新年度と言われても税金や保険関係くらいでしか私には縁のない言葉になってきておりますが、それでも4月になると漠然と新しい何かへの予感や期待にワクワクしたりします。そして5年前の今頃、大きな期待と不安を胸に目前に迫ったMARKUS開業の準備に追われ、2013年5月23日にMARKUSがオープンました。

あれから開業5周年を迎える今、店内の様子も品揃えも変化した所もあれば何も変わらない部分もありますが、何とか5年やってこれたのはMARKUSに関わって下さったお取引き先様やご来店下さった多くのお客様のおかげだと実感しております。本当にありがとうございます。
この感謝の気持ちをカタチにしようと考えてみましたが、セールやノベルティというのも何か違うな。という事で、今年は皆様に喜んでいただける企画に力を入れよう。と思い至りました。

その第1弾が2月に開催した『安土草多の灯り』で、この時はたくさんのお客様にお越し頂き、皆様にとても喜んでいただけたのではないかと思っております。そして今回、5周年月間に開催する第2弾が『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』です。『をのぜ』というのは上の写真にある、島根県松江市の北岸にある断崖絶壁に囲まれ遥か広がる日本海を望む小さな港町である『魚瀬(おのぜ)町』の事です。

今回はこの地にルーツを持つ3人の作り手による展示会です。現在は広島県福山市に『カンナカガラズ工房』を構えて活動する村松学さん。島根県松江市に明治時代から続く『袖師焼窯元』の5代目、尾野友彦さん。柳宗悦に見出され人間国宝『阿部榮四郎』が確立した出雲民藝紙の職人でありながら土瓶敷きや弦などの伝統的な籐細工も手掛ける山野 孝弘さん。これら3人の作り手による3つの異なる素材が織り成す誠実な熟練の技と、日々の暮らしを豊かにする三者三様の美しい手仕事の品々をこの機会に是非ご覧下さい。

それではここから3人の作り手をご紹介していきます。まず最初は『カンナカガラス工房 村松 学』さん。村松さんは1967年島根県松江市魚瀬町の生まれ。1990年より日本初のクリスタルガラス専門工場として政府や宮内庁にも納入実績のある『カガミクリスタル』に入社し吹きガラスを始めます。その後1996年より、島根県における民藝運動とも縁の深い舩木家4代目、舩木道忠氏の子息で自らの工房を持つ日本の個人ガラス作家の先駆けである舩木倭帆(しずほ)氏に師事します。

舩木倭帆氏は村松さんが吹きガラスを始めたカガミクリスタルにも在籍していた事があり、同社を離れた後に東京や九州での制作時期を経て、1988年に広島県福山市に『グラスヒュッテ舩木』を設立し、2013年にお亡くなりになるまでガラス制作に生涯を捧げました。村松さんは9年もの長い修行の後、2005年に師匠の工房がある同じ広島県福山市に『カンナカガラス工房』という名で築炉・独立を果たしました。

工房の名前にある『カンナカ』とは何か。村松さんの故郷である魚瀬と日本海に浮かぶ隠岐の島の間の海中には美しく神聖で豊かな天然の漁場があると言われており、そこをカンナカと言うそうです。古くから生きるのに必要なものは全て海がもたらしてくれると教えられ、海近くに暮らせば餓えること無く、生きていく上で必要な分だけ漁をする。足るを知る質素で堅実な生活の精神が込められているのだと思います。

独立後の村松さんは2008年に国展初出品で初入選を果たし、翌2009年には国展工芸部新人賞を受賞。2012年には国展準会員と、キャリアを積み上げていきます。その作風は村松さんの人柄や思いを反映して実直そのもの。大きな個体差は少なく透明感があり瑞々しくキチンと丁寧に作られているという印象です。『刹那的場当たりの効果を狙う創造を忌み、真に価値のあるものを創造する精神を常に持つ』というカガミクリスタルの精神が表れているようです。

印象としてはシャープでいて安心感があり、素朴さというよりシンプルな造形美やラインに対するこだわりが感じられます。もちろん使いやすさについても生活の中の場面や使う目的なども意識して作られています。特にピッチャーや花器などは作り手によって個性が出ますが、村松さんが作るモノはどちらかと言うとぽってりとした丸みではなく、スマートでシュッとした曲線です。ですが高価で繊細なクリスタルやデザイン重視でつくられたものとは違い、気負わずに使える日々の暮らしの中でこそ存在感を発揮すガラス器です。

『工芸美の本来は、日々の暮らしの中にあって、心の安らぎと悦びをもたらす普遍的な存在である』・『芸は人の修練によってのみ達せられ、修練に支えられ、あくまで謙虚に誠意と喜びを以て作ったものが使う人の心に響き、使う人の喜びが重なり合って新たな喜びが生まれる。そこに真の豊かな暮らしが生まれる』これは村松さんの師匠である舩木倭帆氏の言葉ですが、真摯に仕事に向き合い妥協を許さない村松さんが作るガラスには、その教えが見事に体現されているように感じます。

村松さんの作り出す色ガラスは初夏の日差しを通して様々な表情に変化します。造形の美しさもさることながら、師である舩木倭帆氏ゆずりの大胆で鮮やかな色彩も大きな魅力です。ぜひお手に取ってその美しさを堪能して下さい。皆様のお越しを心からお待ちしております。
● カンナカガラス工房 村松学さんの在廊日は初日の4月28日(土)です。

あとお二人、袖師窯の尾野友彦さんと出雲民藝紙の山野孝弘さんは【後編】でご紹介いたします。

あっという間に4月です。

2月末で安土草多さんの照明の展示が終わり、力尽きてボーっとしてたら3月もあっという間に終わってしまいました。かと言って何もしていなかった訳では無く、前半は確定申告でバタバタしていたり、まとまった入荷もいくつかありましたし4月末から始まるゴールデンウイークの企画に向けて準備を着々と進めておりました。

● 4月のお休み : 4月4日(水)・ 27日(金)

ゴールデンウイーク企画についてはまた来週辺りに別の記事でガッツリご紹介するとして、今日はここ最近の入荷のご紹介をさせていただきます。まずは愛知県常滑市の冨本大輔さんより染付のうつわが届きました。何度目かの入荷で、もはや定番化している飯碗・深どんぶり・6寸と7寸の浅鉢に新柄の格子模様が加わり、更に今回は新商品の平皿と石皿も入荷して、幅広い充実の品揃えとなりました。

平皿の方は染付の柄や質感はそのまま継承しつつ、カタチは完全なフラットという訳でもなく中心が緩く窪んでおりフチがシュッと立ち上がり少しシャープなフォルムになっております。石皿の方はぽってりとした質感で古くから日用雑器として親しまれているカタチに沿った作りとなっており、色は薄っすら緑掛かった爽やかな色合いの鉄呉須と柔らかで優しい色合いの白釉の2色です。平皿も石皿も7寸と8寸の2サイズございます。

昨年7月の3人展以来の久しぶりの入荷となったSemi-Aco 加賀雅之さんからは、お馴染みのPan皿・Onigiri皿・カッティングコースターなど定番の品揃えで再入荷しました。3月の前半に入荷したのですが、久し振りの入荷だったという事もあり、既に完売してしまっているモノもございます。お知らせが遅くてスミマセン。

そしてもうひとつお久し振りの入荷なのが岐阜県のwoodpeckerさんのイチョウの木のまな板と山桜の木のカッティングボードです。冬の間は売り場がパンパンでしばらくお休みしていたのですが、春の新生活需要やそれに向けたギフトとしてご要望いただいておりましたので復活させました。また山桜のカッティングボードに新たにハーフのバケットくらいなら楽々乗るロングサイズが加わりました。

思い返してみると木工製品の入荷が続いた3月。島根県の森山ロクロ工作所さんからもケヤキのプレートや丸盆、薬味入れやサクラ材の茶筒など、なかなか渋めのセレクトで入荷しております。昨年の9月に再び出雲の森山さんの工場にお邪魔した際に注文してきたものなのですが、お茶をいただきながら世間話をしている時に、古い作品や資料などが雑然と詰まったキャビネットの奥に入っている薬味入れが目に留まりました。

チェスの駒のような品のある佇まいで、かなり以前に作っていたもので今は定番的にはやっていない。との事だったのですが、強引にお願いして作っていただきました。それからおよそ半年ぶりの対面だったのですが、入荷した品物を見て満足の出来栄えに思わずニヤッとしました。サクラの茶筒も小振りでシンプルな造形ですがサクラの木目も美しく、中蓋も外蓋もパチッと収まる精緻な職人の仕事に今度は思わず唸りました。

そして今回は、初めて森山さんに丸盆を注文しました。森山ロクロ工作所と言えば茶托と丸盆。というくらい民藝界隈ではお馴染みの存在なのですが、個人的に『いわゆるお盆って今の日本の生活様式の中で、どんな場面で、どのくらいの頻度で登場するのだろう』という疑問を抱いていた事もあり、しばらく『トレイ』ではなく『お盆』を取り扱う事を躊躇っていました。

ですが今回思い切ってお盆を注文して、お盆のある風景というモノを考えてみてしっくり腑に落ちました。カタチにして実践してみると現代の生活様式や住宅事情などといった機能面の事はさておき、お盆に載せるというひと手間やうつわを直に持つ・置くのではなく1枚のお盆が挟まる事で生まれるゆとりや丁寧さが日本人の美意識としてしっくりくるのだと思いました。皆さんもお盆のある生活はいかがでしょうか。

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