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日々のモノ・コト

2018年 7月

『齊藤 十郎 陶展』開催のお知らせ

今年は例年より早く梅雨が明け、2019年も後半戦に突入しました。今年は積極的にイベントを打っていこう。というチャレンジの年で、2月には吹きガラスの安土 草多さんによるの照明の個展。ゴールデンウイークには島根県松江市の北岸にある小さな港町、魚瀬にゆかりのある袖師窯 尾野友彦さん・カンナカガラス工房 村松 学さん・出雲民藝紙 山野 孝弘さんによる3人展。『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』を開催しました。

そして第3弾となる今回は …
【 齊藤 十郎 陶展 ~ JURO POTTERY EXHIBITION 】 2018年 7月14日(土)~ 22日(日)の会期で開催致します。 ※  作家在店日:7月14日(土)・15日(日)・ 会期中は休まず営業します。
これから夏本番。というこの時期に暑苦しいまでのボリュームと品揃えでお届けいたします。ご期待下さい。

さかのぼって調べてみると十郎さんとは2014年の秋からのお付き合いで、最初の納品は2015年の年明けでした。もっと早くからお付き合いがあったと思っていたので自分でも意外でした。今回の個展のお話がまとまったのも割と急な話で、昨年の秋に十郎さんの工房にお邪魔した時でした。普段から仲良くさせて頂いている中目黒のSMLさん絡みでの飲みの席でご一緒する事が多かったのですが、人気者の十郎さんの周りはいつも賑やかで、私はあまり積極的に声を掛けられずにいました。

十郎さんの工房にお邪魔した時もその話になって、十郎さんもMARKUSさんはマメに注文もあるし、よく顔も合わせるのにあまり絡んでこないなぁ。という印象だったそうです。そこで、いざ工房で初めて二人っきりでお話してみると急にそれまでの距離を縮めるように話が弾んで、MARKUSさんは個展とかあまりやらないの?という話題から 『いやいや、十郎さんでしたら是非とも。』という事で個展が決まりました。

十郎さんと言えば、豪快なスリップウェア。という印象をお持ちの方が多いと思います。もちろん私も十郎さんのスリップは大好物で、スリップの深みに引きずり込まれるきっかけとなった作り手の一人です。これまで何人ものスリップ作家の作品を見てきましたが十郎さんの作品は見てすぐわかります。ですが今回はスリップウェアだけでなく、十郎さんの持っている様々な顔を見ていただきたいと思っております。

十郎さんは1969年、神奈川県藤沢市の生まれ。数年の会社員生活の中で薪で焼成される器の美しさに魅了され、陶芸を志し1993年より熊本県の小代焼 ふもと窯の井上 泰秋氏の元で修業を始めます。その後1998年より鳥取県の岩井窯 山本 教行氏に師事し1999年に岐阜県の高山で独立を果たします。2004年には現在の工房がある静岡県伊東市に拠点を移し登り窯を築きます。2008年にイッテコイ窯に直すものの2015年には再び自らの手で4連の登り窯を築き現在に至ります。

小代焼 ふもと窯の井上泰秋氏のもとで薪窯での焼成と轆轤成型の基礎を学び、岩井窯 山本教行氏のもとで様々な装飾技法とカタチを学んだ十郎さんの作風は、しっかりとした基礎や技術に裏打ちされた上で多岐にわたっており、そして非常に奥が深いです。今回の展示ではスリップ以外にも灰釉や焼き締め、象嵌や切り子のような彫り物、古い沖縄に影響を受けたモノなど、様々な作風に取り組んでいただいております。

工房でお話した時も、『スリップのような型モノをしばらくやっていると、今度は無性にロクロを挽きたくなる。そしてロクロばかり挽いているとまた型物をやりたくなるんだよね。』なんて事をおっしゃっていました。そして『スリップやイッチンの様な感覚的な一瞬の勝負のよう装飾をやっていたかと思うと、緻密な作業もやってみたくなる。色々やるのが好きだから、それでバランスが取れてるんだろうね。』と楽しそうに語って下さいました。

実際十郎さんはポットや醤油差しなどを作るのがお好きで、『色んなパーツを組み立てて一つにしていくのが、プラモデルみたいで好きなんだよね。』と言っており、工房の片隅にある事務机の棚の上にはプラモデルの箱が山積みとなっていました。5月の企画展の際に籐細工の山野 孝弘さんに譲っていただいた土瓶の弦を『もし気に入って下さったらコレで土瓶をお願いします。』と十郎さんにお渡ししてありますので、もしかしたら今回の個展でカタチになってお披露目できるかもしれません。

何気なくMARKUSの事を気にかけて下さり、今回の個展を期にグッと距離を縮める事ができた十郎さんですが、そのお人柄から直接のお取引き以外にも最近になって思わぬ所で大変お世話になりました。6月の末頃に出張で熊本の小代焼の窯元を何件か訪問したのですが、是非ともこちらとお付き合いしたい。という思いが以前から強かった、小代焼 ふもと窯で修業された『まゆみ窯 眞弓 亮司』さんの工房にもお邪魔しました。

眞弓さんと十郎さんは兄弟弟子としてふもと窯での修業時代を過ごしており、今でも交流があるそうです。そして十郎さんがふもと窯を卒業した後に師事した岩井窯での兄弟弟子であり、MARKUSでもずっとお世話になっている鳥取の牧谷窯 杉本 義訓さんとも十郎さんを通じて長年の交流があります。お取り引きのお願いが眞弓さんの工房を訪れた真の目的ですが、まずは眞弓さんのうつわ作りの背景にある物語や思いを知りたかったのと私の考えや人柄を知ってもらうために、長い時間をかけてたくさんのお話をしました。

そこでのやり取りは割愛しますが、最終的にはお付き合いいただける事となりまして、決め手となったのが『十郎ちゃんや杉本君とちゃんとお付き合いされているMARKUSさんだったら大丈夫 』との事でした。十郎さんや杉本さんに絶大な信頼を寄せ、その二人が信用しているんだったら安心して付き合える。という本当にありがたいお言葉をいただきました。まさに十郎さんのお人柄がなせる業で、遠く熊本から十郎さんに心から感謝したエピソードです。

引き寄せられるように導かれて決まった今回の齊藤十郎 陶展。様々な縁に感謝しつつ皆様のご来店をお待ちしております。スリップウェアのファンの方もこれから十郎さんの仕事の幅広さを知ってみたい方も、きっとご満足いただける内容になるかと思います。是非ともご期待下さい。

 

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