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日々のモノ・コト

2018年 7月

『齊藤十郎 陶展~JURO POTTERY EXHIBITION』会期延長のお知らせ

猛暑の中始まった【齊藤十郎 陶展】。たくさんのお客様にお越しいただきまして誠にありがとうございます。初日と二日目の十郎さんの在店中も遠方からお越しの方、懐かしい方、たくさんのお客様にお越し頂き賑やかなスタートとなりましたが、記録的な連日の猛暑でお出掛けを躊躇っている方もいらっしゃると思い、十郎さんとも相談して【会期を7月いっぱいまで延長】する事に致しました。

しばらくこのまま猛暑が続くかもしれませんが、もう少し会期が長ければタイミングを見計らってご来店いただけるゆとりも生まれるのでは。と思い、このようにさせていただきました。600点の大ボリュームで始まった今回の【齊藤十郎 陶展】。人気のスリップも新作の点打ちもまだまだ見応え充分の品揃えで、出来るだけ多くのお客様にご覧頂きたいと思っております。

実に幅広い品揃えで取り組んでいただいた今回の個展ですが、やはり多くのお客様の注目の的はスリップウェアでした。スリップだけでも300点ほどご用意いただいた今回の品揃えは、常設の時と比べても断然幅広く、普段はだいたい6寸以上の大きさのスリップしか取り扱わない、いつものMARKUSをご存知のお客様も目を輝かせて興奮気味のご様子でした。

定番のモノに加えて、楕円のうつわでも、いつものカレー皿に少し小さいサイズ、楕円の平皿でも少し小さいサイズを追加した4パターン。角のうつわもいつも角のカレー皿と平たい角皿。そして正方形の鉢。8寸のカレー皿に深い8寸皿と9寸皿を加えたりとバリエーションが多彩に広がっております。

小さいモノでは定番の7寸平皿や6寸皿に加えて4寸・5寸皿と丸・角・楕円の小鉢、丸・角・楕円の豆皿。といった感じでかなりの充実具合です。それとは対照的に大迫力の尺4寸の大皿と尺5寸の大鉢も今回の為に焼いていただきましたので、この機会に是非ご覧になっていって下さい。

スリップとは対照的にシンプルで素朴な土の質感を楽しめる焼き締めのシリーズもたくさんご用意いただきました。以前に6寸と7寸の鉢のみ入荷した事がありましたが今回は8寸と9寸の深鉢。4寸と5寸の小鉢など幅広いサイズ展開です。スリップと同じ作り手によるモノとは思えないほどのシャープな線でザラリとした質感が楽しめるうつわです。

冬場に人気だった楕円の耐熱鉢やバーナードリーチや出西窯を思わせる平皿も飴釉に指描きを施した装飾で人気を集めています。ピッチャーやポット、マグカップから湯吞み・タンブラーなど様々なアイテムが揃っており、スリップの次いで品揃えがが充実しているシリーズです。

小物もたっぷり届いておりまして、マグカップ・湯呑・飯碗・醤油差しなども合わせると100点を大きく上回ります。カタチや柄、釉薬の種類も様々でなかなか絞り切れないため皆様苦労して選ばれています。個展の会期中にもギフトのご依頼を何度かいただいておりますが、店内の込み具合によっては少々お時間をいただく事もございますので予めご了承下さい。

以前にもお話した事がありますが、十郎さんはポットやピッチャーなどパーツを組み上げて作っていくのが好きな方です。スリップウェアのような豪快な作業をしていたかと思うとポットのような細かい作業も大好きだそうで、その最たるモノが【切り子】のシリーズです。上の画像の左下のモノですがとにかく作業が細かい。『そこまでやるのか』というほど気を抜く事無く細部までこだわりが行き届いております。

そして今回、秘かに注目されているのが、十郎さんも『何年ぶりかわからない。』とおっしゃるほど久し振りに作っていただいた土瓶です。以前から良い弦があれば作りたいとおっしゃっていたので、5月の三人展で山野孝弘さんから譲っていただいた弦を十郎さんにお渡ししてこのたび実現しました。十郎さんらしいどっしりとした佇まいで、田舎の縁側で家族みんなで回し注ぎできるたっぷりとした容量。というイメージです。

イッチン・点打ち・指描きなど、様々な技法で、これまた様々な大きさのどんぶりや鉢も作っていただきました。とかく大きなうつわが好きな私としてはワクワクします。選んでいるお客様も何を盛り付けようか妄想を膨らませながら楽しそうに悩んでいて、この個展をやってよかったなぁ。と思える瞬間のひとつです。

猛暑もまだまだ続きそうですが、【齊藤十郎 陶展】も会期を延長してまだまだ続きます。夕方になると日差しも和らぎ、いくぶん涼しくなってくるので、その頃合いを狙ってのんびりご来店されてじっくりお選びになるお客様が多いです。まだまだ見どころたっぷりですので、店内を涼しくして皆様のご来店をお待ちしております。

 

 

『齊藤 十郎 陶展』開催のお知らせ

今年は例年より早く梅雨が明け、2019年も後半戦に突入しました。今年は積極的にイベントを打っていこう。というチャレンジの年で、2月には吹きガラスの安土 草多さんによるの照明の個展。ゴールデンウイークには島根県松江市の北岸にある小さな港町、魚瀬にゆかりのある袖師窯 尾野友彦さん・カンナカガラス工房 村松 学さん・出雲民藝紙 山野 孝弘さんによる3人展。『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』を開催しました。

そして第3弾となる今回は …
【 齊藤 十郎 陶展 ~ JURO POTTERY EXHIBITION 】 2018年 7月14日(土)~ 22日(日)の会期で開催致します。 ※  作家在店日:7月14日(土)・15日(日)・ 会期中は休まず営業します。
これから夏本番。というこの時期に暑苦しいまでのボリュームと品揃えでお届けいたします。ご期待下さい。

さかのぼって調べてみると十郎さんとは2014年の秋からのお付き合いで、最初の納品は2015年の年明けでした。もっと早くからお付き合いがあったと思っていたので自分でも意外でした。今回の個展のお話がまとまったのも割と急な話で、昨年の秋に十郎さんの工房にお邪魔した時でした。普段から仲良くさせて頂いている中目黒のSMLさん絡みでの飲みの席でご一緒する事が多かったのですが、人気者の十郎さんの周りはいつも賑やかで、私はあまり積極的に声を掛けられずにいました。

十郎さんの工房にお邪魔した時もその話になって、十郎さんもMARKUSさんはマメに注文もあるし、よく顔も合わせるのにあまり絡んでこないなぁ。という印象だったそうです。そこで、いざ工房で初めて二人っきりでお話してみると急にそれまでの距離を縮めるように話が弾んで、MARKUSさんは個展とかあまりやらないの?という話題から 『いやいや、十郎さんでしたら是非とも。』という事で個展が決まりました。

十郎さんと言えば、豪快なスリップウェア。という印象をお持ちの方が多いと思います。もちろん私も十郎さんのスリップは大好物で、スリップの深みに引きずり込まれるきっかけとなった作り手の一人です。これまで何人ものスリップ作家の作品を見てきましたが十郎さんの作品は見てすぐわかります。ですが今回はスリップウェアだけでなく、十郎さんの持っている様々な顔を見ていただきたいと思っております。

十郎さんは1969年、神奈川県藤沢市の生まれ。数年の会社員生活の中で薪で焼成される器の美しさに魅了され、陶芸を志し1993年より熊本県の小代焼 ふもと窯の井上 泰秋氏の元で修業を始めます。その後1998年より鳥取県の岩井窯 山本 教行氏に師事し1999年に岐阜県の高山で独立を果たします。2004年には現在の工房がある静岡県伊東市に拠点を移し登り窯を築きます。2008年にイッテコイ窯に直すものの2015年には再び自らの手で4連の登り窯を築き現在に至ります。

小代焼 ふもと窯の井上泰秋氏のもとで薪窯での焼成と轆轤成型の基礎を学び、岩井窯 山本教行氏のもとで様々な装飾技法とカタチを学んだ十郎さんの作風は、しっかりとした基礎や技術に裏打ちされた上で多岐にわたっており、そして非常に奥が深いです。今回の展示ではスリップ以外にも灰釉や焼き締め、象嵌や切り子のような彫り物、古い沖縄に影響を受けたモノなど、様々な作風に取り組んでいただいております。

工房でお話した時も、『スリップのような型モノをしばらくやっていると、今度は無性にロクロを挽きたくなる。そしてロクロばかり挽いているとまた型物をやりたくなるんだよね。』なんて事をおっしゃっていました。そして『スリップやイッチンの様な感覚的な一瞬の勝負のよう装飾をやっていたかと思うと、緻密な作業もやってみたくなる。色々やるのが好きだから、それでバランスが取れてるんだろうね。』と楽しそうに語って下さいました。

実際十郎さんはポットや醤油差しなどを作るのがお好きで、『色んなパーツを組み立てて一つにしていくのが、プラモデルみたいで好きなんだよね。』と言っており、工房の片隅にある事務机の棚の上にはプラモデルの箱が山積みとなっていました。5月の企画展の際に籐細工の山野 孝弘さんに譲っていただいた土瓶の弦を『もし気に入って下さったらコレで土瓶をお願いします。』と十郎さんにお渡ししてありますので、もしかしたら今回の個展でカタチになってお披露目できるかもしれません。

何気なくMARKUSの事を気にかけて下さり、今回の個展を期にグッと距離を縮める事ができた十郎さんですが、そのお人柄から直接のお取引き以外にも最近になって思わぬ所で大変お世話になりました。6月の末頃に出張で熊本の小代焼の窯元を何件か訪問したのですが、是非ともこちらとお付き合いしたい。という思いが以前から強かった、小代焼 ふもと窯で修業された『まゆみ窯 眞弓 亮司』さんの工房にもお邪魔しました。

眞弓さんと十郎さんは兄弟弟子としてふもと窯での修業時代を過ごしており、今でも交流があるそうです。そして十郎さんがふもと窯を卒業した後に師事した岩井窯での兄弟弟子であり、MARKUSでもずっとお世話になっている鳥取の牧谷窯 杉本 義訓さんとも十郎さんを通じて長年の交流があります。お取り引きのお願いが眞弓さんの工房を訪れた真の目的ですが、まずは眞弓さんのうつわ作りの背景にある物語や思いを知りたかったのと私の考えや人柄を知ってもらうために、長い時間をかけてたくさんのお話をしました。

そこでのやり取りは割愛しますが、最終的にはお付き合いいただける事となりまして、決め手となったのが『十郎ちゃんや杉本君とちゃんとお付き合いされているMARKUSさんだったら大丈夫 』との事でした。十郎さんや杉本さんに絶大な信頼を寄せ、その二人が信用しているんだったら安心して付き合える。という本当にありがたいお言葉をいただきました。まさに十郎さんのお人柄がなせる業で、遠く熊本から十郎さんに心から感謝したエピソードです。

引き寄せられるように導かれて決まった今回の齊藤十郎 陶展。様々な縁に感謝しつつ皆様のご来店をお待ちしております。スリップウェアのファンの方もこれから十郎さんの仕事の幅広さを知ってみたい方も、きっとご満足いただける内容になるかと思います。是非ともご期待下さい。

 

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