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【前編】4月28日(土)より『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』開催します。

【4月~ゴールデンウイーク明けまでの営業について】
4月は 20日(金)・ 27日(金) をお休みとさせていただきます。5月のお休みについてはまだ未定ですが、イベントの会期中である 5月13日(日)までは休まず営業致します。よろしくお願い致します。

4月に入り新年度がスタートしました。20年前に学生生活を終え会社員でも無くなり6年経った今となっては、新年度と言われても税金や保険関係くらいでしか私には縁のない言葉になってきておりますが、それでも4月になると漠然と新しい何かへの予感や期待にワクワクしたりします。そして5年前の今頃、大きな期待と不安を胸に目前に迫ったMARKUS開業の準備に追われ、2013年5月23日にMARKUSがオープンました。

あれから開業5周年を迎える今、店内の様子も品揃えも変化した所もあれば何も変わらない部分もありますが、何とか5年やってこれたのはMARKUSに関わって下さったお取引き先様やご来店下さった多くのお客様のおかげだと実感しております。本当にありがとうございます。
この感謝の気持ちをカタチにしようと考えてみましたが、セールやノベルティというのも何か違うな。という事で、今年は皆様に喜んでいただける企画に力を入れよう。と思い至りました。

その第1弾が2月に開催した『安土草多の灯り』で、この時はたくさんのお客様にお越し頂き、皆様にとても喜んでいただけたのではないかと思っております。そして今回、5周年月間に開催する第2弾が『をのぜの人~ガラスと陶器と和紙の人』です。『をのぜ』というのは上の写真にある、島根県松江市の北岸にある断崖絶壁に囲まれ遥か広がる日本海を望む小さな港町である『魚瀬(おのぜ)町』の事です。

今回はこの地にルーツを持つ3人の作り手による展示会です。現在は広島県福山市に『カンナカガラズ工房』を構えて活動する村松学さん。島根県松江市に明治時代から続く『袖師焼窯元』の5代目、尾野友彦さん。柳宗悦に見出され人間国宝『阿部榮四郎』が確立した出雲民藝紙の職人でありながら土瓶敷きや弦などの伝統的な籐細工も手掛ける山野 孝弘さん。これら3人の作り手による3つの異なる素材が織り成す誠実な熟練の技と、日々の暮らしを豊かにする三者三様の美しい手仕事の品々をこの機会に是非ご覧下さい。

それではここから3人の作り手をご紹介していきます。まず最初は『カンナカガラス工房 村松 学』さん。村松さんは1967年島根県松江市魚瀬町の生まれ。1990年より日本初のクリスタルガラス専門工場として政府や宮内庁にも納入実績のある『カガミクリスタル』に入社し吹きガラスを始めます。その後1996年より、島根県における民藝運動とも縁の深い舩木家4代目、舩木道忠氏の子息で自らの工房を持つ日本の個人ガラス作家の先駆けである舩木倭帆(しずほ)氏に師事します。

舩木倭帆氏は村松さんが吹きガラスを始めたカガミクリスタルにも在籍していた事があり、同社を離れた後に東京や九州での制作時期を経て、1988年に広島県福山市に『グラスヒュッテ舩木』を設立し、2013年にお亡くなりになるまでガラス制作に生涯を捧げました。村松さんは9年もの長い修行の後、2005年に師匠の工房がある同じ広島県福山市に『カンナカガラス工房』という名で築炉・独立を果たしました。

工房の名前にある『カンナカ』とは何か。村松さんの故郷である魚瀬と日本海に浮かぶ隠岐の島の間の海中には美しく神聖で豊かな天然の漁場があると言われており、そこをカンナカと言うそうです。古くから生きるのに必要なものは全て海がもたらしてくれると教えられ、海近くに暮らせば餓えること無く、生きていく上で必要な分だけ漁をする。足るを知る質素で堅実な生活の精神が込められているのだと思います。

独立後の村松さんは2008年に国展初出品で初入選を果たし、翌2009年には国展工芸部新人賞を受賞。2012年には国展準会員と、キャリアを積み上げていきます。その作風は村松さんの人柄や思いを反映して実直そのもの。大きな個体差は少なく透明感があり瑞々しくキチンと丁寧に作られているという印象です。『刹那的場当たりの効果を狙う創造を忌み、真に価値のあるものを創造する精神を常に持つ』というカガミクリスタルの精神が表れているようです。

印象としてはシャープでいて安心感があり、素朴さというよりシンプルな造形美やラインに対するこだわりが感じられます。もちろん使いやすさについても生活の中の場面や使う目的なども意識して作られています。特にピッチャーや花器などは作り手によって個性が出ますが、村松さんが作るモノはどちらかと言うとぽってりとした丸みではなく、スマートでシュッとした曲線です。ですが高価で繊細なクリスタルやデザイン重視でつくられたものとは違い、気負わずに使える日々の暮らしの中でこそ存在感を発揮すガラス器です。

『工芸美の本来は、日々の暮らしの中にあって、心の安らぎと悦びをもたらす普遍的な存在である』・『芸は人の修練によってのみ達せられ、修練に支えられ、あくまで謙虚に誠意と喜びを以て作ったものが使う人の心に響き、使う人の喜びが重なり合って新たな喜びが生まれる。そこに真の豊かな暮らしが生まれる』これは村松さんの師匠である舩木倭帆氏の言葉ですが、真摯に仕事に向き合い妥協を許さない村松さんが作るガラスには、その教えが見事に体現されているように感じます。

村松さんの作り出す色ガラスは初夏の日差しを通して様々な表情に変化します。造形の美しさもさることながら、師である舩木倭帆氏ゆずりの大胆で鮮やかな色彩も大きな魅力です。ぜひお手に取ってその美しさを堪能して下さい。皆様のお越しを心からお待ちしております。
● カンナカガラス工房 村松学さんの在廊日は初日の4月28日(土)です。

あとお二人、袖師窯の尾野友彦さんと出雲民藝紙の山野孝弘さんは【後編】でご紹介いたします。

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