HOME > 日々のモノ・コト > お知らせ > 10月19日より『小代焼 三窯展』 ~ その①:ちひろ窯・JTCW2018 編

日々のモノ・コト

10月19日より『小代焼 三窯展』 ~ その①:ちひろ窯・JTCW2018 編

会期の最初から最後まで殺人的な暑さにもかかわらず多くのお客様にお越し頂いた、7月の『齊藤十郎 陶展』以来のブログ更新です。スミマセン。しばらく夏の間は身も心もグッタリしておりました。猛暑と豪雨の記憶しかなかった今年の夏も、トドメの台風24号と共に去って行き(この投稿を書いている時点で25号接近とのニュースもありますが…)ようやく食欲の秋、うつわの秋がやってまいりました。

久し振りとなる今回のお知らせは『小代焼 三窯展』。小代焼とは熊本県北部を中心に現在12件の窯元によって作り出される江戸時代から続く焼き物で、今回はその12件の内の3件による合同展です。この企画の発端は経済産業省の支援を受けて設立された伝統的工芸品産業振興協会(以後、伝産協会)が毎年10月に開催している『JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK(以後、JTCW)』にお誘いいただいたのが始まりです。

今年で5回目となるJTCWですが、多くの方に工芸品をもっと身近に手に取って知っていただく為に、衣食住を扱うライフスタイルショップを通じて日本各地の伝統工芸品を紹介するイベントで、今年も10月19日(金)から31日(水)まで『JTCW 2018』として、東京都内の30のお店で日本各地の伝統工芸品の産地とコラボした展示販売が行われます。 ※ 詳しくは『JTCW2018』で検索してみて下さい。

このお話をいただいたのが5月の末頃で、参加の条件が『伝産協会に加盟している伝統工芸品の中から、今まで扱った事の無い産地とコラボする事』という事で、工芸品リストの中から、以前からお付き合いしたくて、でもなかなか産地に出向く事ができなかった熊本の『小代焼』を見つけて、大喜びで参加意思を表明し、6月には産地訪問として2016年の震災の爪痕が未だ残る熊本へ飛び立ちました。

小代焼は1632年肥後国に転封となった細川忠利が陶工たちを伴い小岱山麓に窯を開いて焼物を焼かせたのが始まりと言われ、現在も地元で採れる原料と伝統の技法を用いて素朴で力強い実用性の高い日用食器が生み出されています。今回の小代焼とのコラボを実現するにあたり思ったのが、『いただいたお話とはいえ、やるからには普段MARKUSで行っている展示会レベルの内容と物量で開催し、お忙しい中ご協力いただいた産地や期待してお越し下さったお客様に恥ずかしくない展示にする。』という事でした。

というのもMARKUSでは通常個展やイベント事は先ずはお付き合いの実績を積んでからお願いしており、作り手とのご相談も遅くとも1年以上前にはできているのですが、今回は準備に4ヶ月しかない上に初めてお取組みさせて頂く方々ばかりで、伝産協会からの話だから初めましてでもこちらのご相談に協力的に聞いて下さるかもしれないが物量の確保が困難だろう。というのが出発前からの課題でした。

できれば4~500点ほどは品物を集めたいと思うものの、小代焼窯元全12件にお声掛けするのも無理があり、1件だけでは到底及ばない。産地訪問の出張は2泊3日が限界で、窯元以外にもリサーチなどで回りたい所がいくつかある。(熊本ラーメンも食べたいし馬刺しも食べたいっ)という事で3~4件の窯元に絞って出発前にアポを取り、あとは当たって砕けるつもりで熊本に向かいました。そして晴れて『ふもと窯・瑞穂窯・ちひろ窯』の3件に今回の『小代焼 三窯展』にご協力頂ける事となりました。

それではまずは1件目、『小代本谷 ちひろ窯』さんのご紹介。ちひろ窯として作陶する前野智博さんはサラリーマン時代を経て28歳で陶芸の道へ入ります。次回のブログでご紹介する、今回の『小代焼 三窯展』にもご参加いただいている『瑞穂窯』の初代、福田豊水氏に師事し陶芸の基礎から学び、その後更なる修行を求めて沖縄へ渡り、読谷村の玉元輝政氏に師事し様々な技法を習得します。

2年の沖縄での修業の後、熊本に戻り1998年に自らレンガを組み手作りで窯を築き『小代本谷 ちひろ窯』として独立を果たしました。ちなみに前野さんの奥様は玉元氏の工房とも目と鼻の先にある読谷村の共同売店で働いていた頃に、沖縄で修業中の前野さんと知り合ってご結婚されたそうで、同時期に近所の大嶺實清氏の元で修業されていたMARKUSでもお馴染みの壹岐 幸二さんや真喜屋 修さんとも旧知の仲だそうです。

2003年に現在の場所に窯を移し小代焼窯元の会にも登録し、2006年には経済産業大臣指定伝統工芸士の認定も受けられました。そんな前野さんの作風は、他の『ふもと窯』『瑞穂窯』の二つが豪快で重厚感があり力強い印象が濃いのに対して、同じ小代焼きでも丁寧で軽やか・繊細。という印象があり、特に昔ながらの唐草を作る玉元氏の元で修業した名残も一部の作品に垣間見る事ができます。

土は窯の近くを掘れば出てくるという恵まれた環境。釉薬は近所の農家から分けてもらったワラを焼いた灰を使い、窯の薪も同様で地元の身近にある原材料によって自給自足に近い昔ながらの手法でうつわ作りに勤しみ『従来の小代焼というと重厚な印象で気軽に手が出にくいモノが多かった。だからなるべく現代の暮らしに合うものを心掛けています。日々の食卓で料理を盛った時に映えるという事を考えて』と語る前野さん。

その言葉どおり、小代焼の持つ伝統を残しつつも前野さん独自の感性と経験から生み出される『ちひろ窯』のうつわは、明るく軽やかで様々な食卓のシーンに溶け込み、料理との相性もイメージしやすい使い勝手の良いうつわです。東京でちひろ窯さんのうつわをまとまった数でご覧いただける機会もなかなかございません。ご期待下さい。

その②:瑞穂窯 編に続きます。

このページの先頭へ