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10月19日より『小代焼 三窯展』 ~ その②:瑞穂窯 編

 

その①『ちひろ窯・JTCW2018』編から続きまして、お次は『瑞穂窯』さんのご紹介。

瑞穂窯を興したのは、その①でご紹介した『ちひろ窯 前野智博』さんの師匠でもある初代当主の『福田 豊水』氏。そして現在、当主として『瑞穂窯』を継承しているのは豊水氏の息女である『福田 るい』さんです。伝統ある窯元を継承した当主としては珍しい女性の作り手です。ちなみにMARKUSもお世話になっている秋田の白岩焼和兵衛窯の渡邉 葵さんも女性の作り手で、再興されたおじいさまから数えて3代目です。

るいさんの祖父が古小代を集めていて、その影響を受け自身でも民藝店を営んでいた豊水氏が、古小代の微妙な青色を復元したいと、独学で窯を興したのが瑞穂窯の始まりだそうです。福田るいさんは1964年福岡県大牟田市生まれ。九州産業大学芸術学部で油絵を学んだ後『平面よりも立体的な造形物を』と、父、豊水氏の元で修業を始めます。その後、外の世界も見るべく益子の人間国宝『島岡 達三』氏の門を叩きます。

陶芸界隈とは意外なところで繋がっているもので、MARKUSでも長年お世話になっている益子の『岡田崇人』さんや松江の『袖師窯 尾野友彦』さんと同門という事になります。ちなみにお姉様は菓子研究家の『福田 里香』さん。コチラも意外な繋がりでした。島岡製陶所での修業を終え熊本に戻った後は再び瑞穂窯の父の元で作陶を始めて25年。お父様がお亡くなりなった後もしっかりと瑞穂窯を守り続けています。

12件ある小代焼の窯元の中から『瑞穂窯』さんに今回の企画をお願いしたかった理由は『色彩美と造形美』でした。『小代焼窯元 瑞穂窯 福田るい』の名前と作品は、もう何年も前から見知っており、普段から自宅でも何点かるいさんのうつわを使っているくらい、いつかMARKUSでお取り引きをお願いしたい作り手の一人でしたが、なかなか熊本まで出掛ける機会を作れないまま何年も経ってしまいました。

それだけに今回のお話はありがたく、喜んで取り組む事ができました。6月の熊本訪問がるいさんと初めてお話する機会となりましたが、初めましてで急なお願いをしているにもかかわらず頼もしく引き受けて下さいました。更にるいさんのサッパリとした面倒見の良さに甘えて、一緒に昼食を取った後に次の訪問先である『ふもと窯』までご案内いただき、2代目である井上尚之さんにも引き合わせて下さいました。

小代焼は鉄分の多い小岱粘土を使った素朴で力強い作風が特徴です。釉薬の調合や焼成温度の違いによって大まかに青、白、黄に分かれますが個体差が大きく独特の深みがあります。更にるいさんの場合、ワラ灰で生み出した独自の藍釉も大きな特徴で、従来の青小代は乳白色を帯びているのに対してるいさんが作り出す藍は他には無い更なる深みがあります。まさに親子2代で小代の青を追い求めた結果、独自の青に辿り着いた瑞穂窯の色彩美。という感じでしょうか。

もう一つ瑞穂窯の特徴と言えるのが “しのぎ”の技法。小代焼といえば“打ち掛け”のように釉薬のかかり方を生かした勢いのある技法が多いのですが、“しのぎ”の場合は掻き道具を使って器の表面を丹念に削り、削られた部分に溜まったり流れ落ちる釉薬の濃淡によって模様が浮び上がります。その模様の魅力を最大限に活かしているうつわの形状、独特なフォルムが秀逸で、表情豊かな色彩と“しのぎ”の模様にリズムが生まれ、和洋問わず食卓を彩ってくれる造形美となっております。

るいさんはチャリティーにも積極的に取り組んでおられ『クマモトのカケラ』というブローチやヘアゴムとマグネットからなるセットの販売を通して、日本各地の災害復興を支援しています。きっかけは2016年の熊本の震災で、まさに震災があったその時に窯焚きをされていたそうです。無残にも割れてしまったうつわのかけらをアクセサリなどの姿に変えて、収益の一部を被災地の復興支援に寄付する個人プロジェクトを行っています。

『伝統とは、灰を守ることではなく、熾(おき)を密かに保ち続けること。』つまり、窯の火を絶やさないと同時に情熱の炎も燃やし続けるという事。というお父様の教えを大切にし、しっかりと伝統的な日本の食事に合うような風格を持ったモノから、カジュアルなフレンチやイタリアンにも似合いそうなうつわが自然に混在する。そんな小代焼の伝統を踏襲しながらもフッと肩の力が抜けた『瑞穂窯 福田るい』さんのうつわにご期待下さい。

その③:ふもと窯 編に続きます。

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