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11月23日(金・祝)より『白岩焼和兵衛窯 渡邊 葵 展』開催いたします。

日中の気温も随分下がり、陽が出ていても上着なしでは肌寒い季節になってまいりました。10月の後半から11月の初旬まで開催していた『小代焼の三窯展』もおかげ様で盛況の内に会期を終え、しばらくのんびりと通常モードで。と思っていたら今度は11月23日(金・祝)勤労感謝の日から、2018年最後のイベントとなる展示『白岩焼和兵衛窯 渡邊 葵 展』11月23日~12月2日の会期で始まります。
● 作家在店日:11月23日(金・祝)・24日(土) ● 会期中は休まず営業します。

【個展初日の前日、11月22日は売り場準備の為お休みとさせていただきます】

MARKUS開業から5周年となる2018年は『積極的にイベントを打っていこう』と思い立って動き始めたのは昨年の夏頃。2月に『安土草多の灯り』。ゴールデンウイークに『をのぜの人』。7月に『齊藤十郎 陶展』が決まり、12月に入って「お付き合いも3年だし、そろそろ白岩焼の渡邉さんにお願いしても」と思い、ご連絡をしたところ「私も同じことを考えてました」と、嬉しいお返事が返ってきました。

渡邊さん=白岩焼との出会いは2015年の5月でした。都内のお店にご自身の作品の売り込みをしようと秋田から上京されていて、何件かのショップを回った中でMARKUSにも立ち寄って下さいました。『秋田の角館という所で白岩焼という焼き物をやっています。よかったら作品を見て下さい』と、丁寧で静かな口調ながらも必死さが伝わってきたのを覚えています。

ちょうどお客様も途切れた頃合いだったので、その時渡邊さんが持参した作品を見せていただきました。都内で手仕事の品物を扱うお店をやっていると、年に何回か作品を持ち込んで売り込みに来られる方がいます。そこそこキャリアのある方や始めて間もない方。作品もご本人の考え方も趣味の域から脱していない方。社会に出た事も無く自力で生活もしていない、口のきき方も知らない学生みたいな方。実に様々です。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

私もお店を始めてまだ年月も浅く諸先輩方と比べると知識も目利きもまだまだですが、そんなMARKUSを選んでわざわざ来てくれている事を有り難いと思っているので、基本的に門前払いをするような事はありませんが、売り込みに来られる方々と接している内に『少なくともモノ作りで生計を立てて、実店舗で勝負しているプロの作り手と仕事がしたい』という思いが固まっていました。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

そしてそこに現れた渡邊さんご自身も渡邊さんが持ってこられた作品もまぎれもなくプロのものでした。ですが、その時に見せていただいた作品はMARKUSの雰囲気や私の好みに合うモノではなく、かなり女性的で繊細で華やかな作風のモノで、到底そのままお店に並べられるものではありませんでした。ですが質感やカタチ、釉薬の感じは悪くなく、もっと他にも作品を見てみたいと思い『コレはコレではイイとして、他にこんなのはやらないの?』などと、こちらが欲しいと思う要望を出してみました。今思えば上から目線で失礼な話です。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

まだお付き合いもしていない作家さんにこういう事を言うと嫌がる方も多いのですが、渡邊さんは『出来ます。やってみます。また見て下さいますか?』と、私なんかが言う事にもとても素直で前向きで『出来上がったらまたご連絡します。』と言い残して帰って行かれました。その数か月後には約束通りリクエストの作品が届き、また次のリクエストを出して。というやり取りが何度かあり、最初の注文に漕ぎつけるまで1年近くかかりました。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

正式に注文をお願いする際は渡邊さんも上京されていて、感極まって涙を流されていました。驚いてお話を聞いてみると最初にMARKUSに来る前は、作品を見てもらってもほとんど相手にされなくて、ちゃんと話を聞いてくれたのがMARKUSだけだったそうです。確かに最初に持ってきた作品は実際よくできたモノでしたが売り込み先との相性が悪く、いわゆる器ギャラリーのような『THE 作家物』を扱うようなお店だったら状況は違っていて、あのままでは東京の、それも民藝寄りのお店ではあまり好まれないだろうな。と思わせる作品でした。


※上の画像は過去に取扱商品をご紹介した際のモノです。

私がした事は白岩焼和兵衛窯だからこそ出来得る自分の好きなモノ・MARKUSに置きたいモノを好き勝手にリクエストしただけで、それに嫌な顔をせず真摯に付き合ってくれた渡邊さんには心から感謝しています。ではなぜ私が最初は好みじゃなかった渡邊さんの作る白岩焼に食い下がってアレコレとお願いし続けたのか。それは初めて白岩焼の海鼠釉の濃厚な青白さを見た時に、既にハマってしまっていたのだと思います。

『白岩焼の特徴である海鼠釉は、日本各地で似たようなモノが使われているが 白岩焼がいちばん良い。』と、濱田庄司に言わしめたその青白い美しさと濃厚な質感が、白岩焼和兵衛窯の最大の魅力です。海鼠釉のうつわ自体は私も手にした事はありますが、実はあまり好きではありませんでした。しかし渡邊さんから見せていただいた海鼠釉はそれまでの私の印象を一発でひっくり返すほどのインパクトがある出会いでした。

白岩焼の歴史は古く1771年に始まります。11代にわたり秋田藩を治めた佐竹家の庇護により栄えましたが、江戸末期から明治にかけての動乱の中、1901年に白岩焼 の歴史は途絶えます。その70年後、白岩焼の復興を目指した渡邊家は、折しも民藝運動によって来訪していた『濱田 庄司』の助力もあり1974年に再興を果たしました。地元の原料にこだわり、登り窯と灯油窯を使い、現代の美意識に合うモノづくりを続けています。

渡邊葵さんは1980年生まれ。2005年に岩手大学大学院教育学研究科(美術工芸)を修了後に父である渡邊敏明氏に師事し、2009年に京都府立陶工高等技術専門校研究科を修了後そのまま同校の講師となられます。2011年に秋田に戻り和兵衛窯にて制作活動を再開している現在は、白岩焼和兵衛窯をご家族で守りながらご自身の白岩焼を制作し、伝統を守りつつご自身の感性を軽やかに作品に投影しています。

なんだか『MARKUSと渡邊葵の物語』みたいな感じになってしまいましたが、MARKUSと渡邊さんの間にはそんな歴史があり、お互いに今回の個展には特別な思い入れがあります。渡邊さんの人柄がよく表れた、丁寧で誠実な仕事から生み出されるしなやかな造形や深みのある色合いにも磨きがかかり、これまでにMARKUS でも披露した事のない新しい世界が広がります。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

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